米国、日本、豪州、カナダ、メキシコなどの12カ国が、加盟国間の関税引き下げ協定である、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を大筋合意した事で、ブラジルでは世界の貿易ブロック体制から孤立化したとの危機感が高まっていると6日付伯字各紙が報じた。
ブラジルの輸出総額のほぼ25%はTPP加盟12カ国に向けてのものだ。ブラジルは昨年、TPP加盟国に対し、540億ドルの輸出と、600億ドルの輸入を行った。工業製品に限ると、310億ドルの輸出と、470億ドルの輸入だった。
TPP締結で、ブラジルの輸出総額は2・7%下落するだろうとジェトゥーリオ・ヴァルガス財団のルーカス・フェラス調査員は語る。
「今回の合意締結の前から、ブラジルの絡む取引は減少していた。なぜならば、合意締結を見越して、協定参加国の各業者はブラジル以外のルート構築をもう始めているからだ」と、ジエゴ・ボノモ全国工業連合(CNI)貿易部長は語る。
ジョゼ・アウグスト・デ・カストロブラジル貿易会(AEB)会長は、「ブラジルの貿易競争力はもともと低かったが、これで一層低下する」とし、TPP参加国同士は品目に応じて関税を撤廃または低く抑えるため、(ドル高の助けを借りても)ブラジルの輸出品がこれらの国々では割高になるのは自明であると結んだ。
アルマンド・モンテイロ商工開発相は今回のTPP合意を、ブラジル貿易にとって危機でもあるが同時に好機と捉えることも出来ると語っている。TPPがEUとメルコスール間の貿易自由化への動きと、ブラジル、中国両国間の貿易関係促進の動きを活発化させる契機となりうるからだ。
同相は「米国は中国に対抗し、中南米の一部を含む環太平洋エリアでの主導権を握るためにTPP協定を締結させたが、この動きは別陣営にとっては貿易関係再構築の好機になる」と語った。