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伯国経済の反転は可能だと語るレヴィ財相(Lula Marques/Agencia PT)
伯国経済の反転は可能だと語るレヴィ財相(Lula Marques/Agencia PT)

ブラジル格付け=M社は性急な格下げ行わず=来年中旬までと期限提示=ブラジル潜在力を強調の財相

 6日、サンパウロ市で行われた格付け会社ムーディーズ(M社)の第17回年次会議で、同社副社長のマウロ・レオス氏が、現在のブラジルの経済状況は、ブラジルと同じBaa3(「投資適格」最低位)と格付けされたインド、インドネシア、トルコと比べても遜色がないとの見方を示したと7日付伯字各紙が報じた。
 同氏は「ブラジルの現状を『安定傾向』と評価したのは、経済が安定しているという意味ではなく、格付け判断のためのポジティブな要因とネガティブな要因が拮抗しているという意味に過ぎない」とし、ブラジルの格付けがさらに低下して「投資不適格」に転落するのを避けるためには、来年中旬までに政治的、経済的要因を共に好転させなくてはいけないと述べた。
 ブラジルは9月9日に3大格付け会社のひとつのスタンダード&プアーズ社(S&P社)より国債格付けを「投資不適格」に落とされたが、M社とフィッチ社(F社)からの格付けは「投資適格」を保っている。3分の2が「投資不適格」とすると国外からの投資が一気に減るため、ブラジル政府は残りの2社からの格下げを最も恐れている。
 同イベントでM社ラ米地区マネージング・ディレクターを務めるスーザン・クナップ氏も、今のブラジル経済の低調ぶりはM社の期待を下回るものだが、ブラジルはまだ「投資適格」ランクに留まるだけの潜在能力を残しているとの見解を示した。「ブラジル政府は、強いコンセンサス(共同認識)を持って財政目標と経済目標を達成するための諸政策を実行する事が出来ていない。大統領の低い支持率も政権の不安定さに拍車をかけた」「公的負債は年内に国内総生産(GDP)の70%を超え、中銀がインフレ抑制に気をもむ状態が続くだろう」とクナップ氏は続けた。
 一方、ジョアキン・レヴィ財相はM社の辛らつな言葉に対し、ブラジル経済の潜在能力は我々が考えている以上で、大きな驚きを起こす力を秘めているとし、「これからは、連邦政府がブラジル経済を回復させ、維持するための財政的な諸条件を整えようとしている事の結果が表れ、安心感を持てるようになる」と続けた。