7日、連邦会計検査院(TCU)は連邦政府の14年度の粉飾会計疑惑の審理を行い、満場一致で「違反」との判断を下した。これは同院の歴史でも78年ぶりの違反判断で、連邦政府にとって屈辱的な結果となった。これにより、議会でのジウマ大統領罷免を進める動きに歯止めをかけるのはより困難になった。8日付伯字紙が報じている。
TCUはまず、アウグスト・ナルデス判事が同件の報告官をつとめることを満場一致で認めた。連邦政府側は、同判事が審理前に会計報告は違反と声高に主張していたのは判事法違反だとして交代を求めていたが、この要請はTCUの結束を固めただけだった。
ナルデス報告官は、14年度会計には、財政責任法が禁じている、公的銀行からの公共事業費借り入れなどで少なくとも1060億レアル分の違反があるとした。その金額には、粉飾会計による不正が400億レアル、14年の経費なのにわざと支払いを遅らせたものが280億レアル含まれている。その他の不正には、国家資産評価額の誤り、社会福祉や軍人福祉関連の司法負債処理上の不備などが挙げられた。
ナルデス判事からの報告を受けて行われた投票では、8人の判事全員が「違反」に票を投じ、TCUによる最終判断が正式に出た。TCUが連邦政府の会計報告を違反と判断したのは、ジェツリオ・ヴァルガス大統領時代の1937年度の会計以来となる。
14年度の連邦政府会計が最終的に違反になるかは、上下院合同の予算審議委員会を経た後に開かれる上下合同または個別の本会議で決まる。37年度の会計は、大統領の専制色の強い「エスタード・ノヴォ」(1937~45年)の時代でもあったため、議会での承認は得られている。
だが、TCUの違反判断を受けた議会が会計報告を否決すれば、財政責任法違反で大統領罷免を求めようとしている勢力も少なからず存在し、議会での承認は容易ではない。否決されれば大統領には「フィッシャ・リンパ」(犯罪歴)法が適用され、ジウマ氏は選挙に出馬できなくなる。
議会運営の難しさは同日行われた議会の投票でも早速証明された。この日は、国庫負担が増える「爆弾法案」に対して大統領が行使した拒否権の可否を巡り、両院合同の本会議が開催されるはずだったが、上院が81人中68人出席だったのに対し、下院は過半数(257人)を下回る223人の出席で、流会となった。先週、議会対策のための新閣僚編成を行ったにも関わらず、同様の動きは連日起きている。
連邦政府側は、政府寄りのレナン・カリェイロス上院議長が予算委員会などに働きかけ、会計報告の無事承認となることを期待している。政府は当初、最高裁にTCUの報告官交代と審理の延期を求めていたが、この要請はルイス・フクス判事が7日に拒否している。