13日、連邦最高裁のテオリ・ザヴァスキ判事とローザ・ウェバー判事は、下院でエドゥアルド・クーニャ下院議長が提唱していた、ジウマ大統領罷免請求の取り上げ方を「憲法違反」との解釈で無効とした。同議長は上告の意向だが、ジウマ大統領たちは下院での票のとりまとめなどの時間にゆとりが生まれ、喜んでいると14日付伯字紙が報じている。
クーニャ議長は9月23日、ジウマ大統領罷免請求を議長自身が一度お蔵入りさせた後、それを不満とする下院議員たちが本会議で罷免請求の審議を要求し、その場で行う投票で3分の2を超えたら議案として生かすという方法を示していた。
クーニャ氏としては、法学者のエーリオ・ビクード氏らが作成したものも含めた罷免請求をいったんお蔵入りさせることで、自分自身が大統領に弓を引くのを避けた形をとった上で、罷免請求そのものは議会投票で通す意向だった。
だが、労働者党(PT)をはじめとした与党側議員がこの方法論に反発し、最高裁に計三つの訴訟を起こしたため、13日に最高裁が見解を下した形となった。
テオリ判事はまず、「大統領罷免問題は下院のみならず国家にとっての一大事」として、「法で定められた手順に従って行うべきだ」との見解を示した。
ウェバー判事は、クーニャ議長が提唱した大統領罷免への手続きの踏み方が、これについて定めた1950年の犯罪責任法1079条に違反していると指摘した上、クーニャ氏が「大統領の罪への責任追及を行う議案に対し、自身による分析や決定を放棄したまま審議を行おうとしていることも問題だ」とした。
この2判事の暫定令に従うと、クーニャ議長は自らの判断により大統領罷免を決めなければならないが、同議長は上告して抗戦する構えを見せている。
一方、野党側はこの最高裁判断を受け、作戦を変更し、ビクード氏らを中心に作成した罷免請求に、連邦会計検査院(TCU)から財政責任法違反の判断を下された連邦政府の14年度会計収支報告と、さらなる粉飾疑惑が指摘されている15年の会計の件を加えたものを、16日に改めて提出する意向だ。
一方、今回の最高裁判断によりジウマ大統領の罷免議案が具体的に扱われるまでに時間を擁すことになったことで、連邦政府には、罷免阻止への工作と下院議長更迭を求めるための調査の時間が出来た。クーニャ議長はラヴァ・ジャット作戦でのスイスの秘密口座所有と収賄の証拠が連邦検察庁に握られており、議長の座を脅かされている。