ラヴァ・ジャット作戦に関連し、スイスの秘密口座を巡る金の動きなどの証拠を連邦検察庁に握られたエドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)が、自らの任期全うを目的に連邦政府に接近を図っており、ルーラ前大統領がジウマ大統領(共に労働者党・PT)の罷免審議を進めないことを交換条件に、それに応えようとしていると、15日付伯字紙が報じている。
クーニャ議長は14日、副大統領官邸で持たれたミシェル・テメル副大統領とレナン・カリェイロス上院議長(共にPMDB)との昼食会で、二つの合意をみた。
ひとつは、下院の倫理委員会がクーニャ議長に対する議員罷免を否認することだ。検察庁がスイスの秘密口座の存在と収賄の証拠を公表した後、社会主義自由党(PSOL)と持続ネットワーク(RS)が同委員会に、PTの議員62人中34人も署名したクーニャ議長の罷免要求を提出したが、倫理委員会が罷免には当たらないとの意見書を送れば、下院本会議で議員罷免となる可能性は低くなる。
もうひとつは、その代わりにクーニャ議長がジウマ大統領に対する罷免議案を進めないことだ。同議長は、自身がお蔵入りさせたジウマ大統領罷免議案を、下院内での上告投票によって承認することを考えていたが、この方式は13日に最高裁で却下された。同議長は上告の構えだが、連邦政府はこれで、当面はジウマ大統領の罷免への動きが弱まると見ている。
昼食会はジャッケス・ヴァギネル官房長官(PT)の要請で持たれたもので、クーニャ氏の意向は同日中にテメル副大統領から官房長官に伝えられ、それはルーラ前大統領の耳にも入った。ルーラ氏はこの日にブラジリア入りしており、15日にはジウマ大統領との会談も行っている。
ルーラ氏は、下院の倫理委員会でクーニャ氏の罷免審議を進めないようPTの議員を説得する意向だ。同委員会では21人の構成員中、PT議員は7人。最多はPMDBの9人だ。
また、クーニャ議長は14日の昼食会で、「ラヴァ・ジャット作戦で連邦警察を制御できなかった」としてジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相の解任を求めた。同法相はジウマ大統領からの信頼が厚いことで知られているが、同法相に関してはルーラ氏も不満を抱えている。ラヴァ・ジャット作戦では既に、PT元中央会計のジョアン・ヴァカリ被告が有罪判決を受け、元PT党首で官房長官だったジョゼ・ジルセウ被告も逮捕されている。
クーニャ議長は、大統領罷免要求を取り上げれば政府側から、罷免要求を拒否すれば野党側から議員罷免請求がでる可能性がある。罷免されれば、議員特権が効かない一般人扱いとなるため、その後の裁判は現在ラヴァ・ジャットの裁判を行っているパラナ州連邦地裁の管轄となる。
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