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会見した委員会、大学側の関係者
会見した委員会、大学側の関係者

私大初の日語教師講座開講=2月開始、汎米協会が連携=南十字星大リベルダーデ校

 2012年にサンパウロ市の3大優良私学に選ばれた「クルゼイロ・ド・スール(南十字星)総合大学」のリベルダーデ校に、2月から『ポルトガル語・日本語教師養成コース』を開設するにあたり、14日午後、準備作業を手伝っているパンアメリカン日系人協会ブラジル支部の矢野敬崇会長らが会見し、開設経緯を説明した。

 1996年、橋本龍太郎首相(当時、故人)が来聖した際に文協が「日伯学園建設構想」を提案し、文協内に検討委員会が設置されたが実現に至らなかった。その後、日本語センターを経由して、08年からパンアメリカン日系人協会が「日ブラジル際大学建設準備委員会」として引き継いでいた。その流れから、今回の日語教師養成講座創設を手伝うことになった。
 矢野準備委員長は「学校を建設することは事実上困難なため、私立校に日本語教師を育成する学科の開講を検討し始めた。そんな折、準備委員の一人が、同大学に30年勤務する関係者と親しい仲だったことがきっかけになった」という。
 昨年、矢野会長が総長と会合を持ち、「国際的人材の育成が必要。コース開設によって日伯交流も期待できる」と賛同したという。
 教員資格の取得を目指す者、日本への留学希望者らが対象。主にリベルダーデ校で実施される。6期(3年)2800時間というカリキュラムには、日ポ両語の基礎や教育実習などの教職課程が組み込まれている。月々の受講料は600~700レ。
 文学部で調整役を務めるマルリ・マルガレッテさんは今後の見通しについて、「第1期生として60人まで受入可能だが、40人ほどを想定している。少人数の場合12月の時点で大学側がスタートするか判断する。順調にいけば2月に開講し、将来的には180人まで増やす見込み」と話した。
 建設準備委員会は日語校での実習や、日本文化に触れる機会を与えるため連携協力するという。矢野委員長は「民間ベースで史上初の出来事。実際に学校が出来るのは100年、200年先かもしれないが、第一歩を歩み始めた」と一定の達成感を見せた。
 11月25日にサンミゲル本校で調印式が行われる。試験日や要綱など詳細は大学サイト(www.cruzeirodosul.edu.br/)まで。


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 主にリベルダーデ校舎で日ポ語教師養成コースを始める南十字星大は、英ポ語の同コースも行なっており、サンミゲル校、アナリア・フランコ校、ピニェイロス校を合わせた全4校2万6000人の内、800人の学生が通っているという。かつては西ポ語の教師養成コースもあったが、応募が少なく閉講してしまったとか。日ポ語コース存続のためには、まずは一定数以上の学生確保が絶対条件か。そんな学生が多く出るには、まず、みんなが「日本語教師になりたい」と熱望するような給与等の労働条件が必要かも。