【既報関連】聖南西文化体育連盟(UCES、山村敏明会長、25団体)が先月12日の定例会で承認した『300万レアルプロジェクト』に関する説明のため、山村会長や古川シルビオ評議委員長らが13日に来社した。コロニア・ピニャール在住の天野鉄人さん(サンパウロ青年図書館理事)による多額寄付に感謝を示しつつ、これまでの経緯や今後の展望を語った。
300万レプロジェクトの始まりは2009年にさかのぼる。当時、年間7~8千レの運営赤字を見込むと聞いた天野さんは「これから3年間、1万レずつ寄付します」と支援を表明した。
約束の3年が過ぎた12年になると、新たに『100万レアル基金』を提案。天野さんや傘下団体が一定金額を出し合い、3年で100万レを積み立てるもので、今月7日付けに天野さんが57万レを振り込み目標額に到達した。
最終的な内訳は連盟18万レ、天野さん76万レ、利子6万レ。山村さんは「相互信頼あってのゴール。聖南西も真摯に取り組んだ結果、天野さんも『寄付するに値する』と判断してくれたのでは」と感謝を示している。
ただ古川シルビオ評議委員長が、「当初は足並みを揃えることが難しかった」と振り返るように疑心暗鬼な部分もあった。会員数などを考慮した文協規模によってA(年6千レ)、B(同3千レ)、C(同1500レ)と金額を定めたが、「少ない運営費で活動する中、用途や目的が不透明では基金にお金を出せない」という慎重派の意見もあった。
それでも達成できたのは、「山村さんの気持ちを汲んでのこと」と見解を述べている。実際に山村会長らは各地の文協を回って交渉や説得もした。前向きに考える傘下団体も増えた結果、「連盟会費の滞納もなくなった。より絆を深められた」と思わぬ効果を喜ぶ。
先月12日(サンパウロ州タピライ市)の定例会では、さらに進化させた『300万レプロジェクト』を承認。100万レを元手に高金利口座に預けることで、10年後に300万レまで増やすという。以後は利子による健全運営を目指す。
山村会長は「100万を貯めるまでは急な坂道だったが第一段階を越えた。これからは緩やかな坂となる。金があるところは問題が生じるというが、金がなければ動けないのも事実」と意義を話した。
同連盟の巨額基金は、10カ年計画で再始動することになった。使い道などは5人の運営委員を中心に決めていく。現在想定する案として、「日本語教育」「高齢者福祉」「スポーツ、文化活動の支援」があり、「和太鼓や相撲で全伯チャンピオンになった時の訪日費用に充てたい。我々のためでなく30代、40代以下の若い世代のために使う」と強調した。
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今春から始まった聖南西連盟による『300万レアルプロジェクト』。天野鉄人さんは過去に様々な迷言を残しており、サンパウロ市周辺では敬遠する人も多い。聖南西関係者からは、「天野さんがどんな人が詳しく知らなかったことが逆に良かったかも」と、同氏が立案した巨額基金達成の要因をポツリ。