スウェーデンを訪問中のジウマ大統領(労働者党・PT)が報道陣の取材に答え、辞任の希望があるとも報じられていたジョアキン・レヴィ財務相が継続して職務を行うこと、大統領罷免の心配はないことを強調した。19、20日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領はまず18日、スウェーデン国王のカール16世とシルヴィア王妃と対談したあと、ホテルに戻ってから受けた報道陣の取材に対し、ジョアキン・レヴィ財務相の辞任の噂を否定した。
この噂は、レヴィ財務相が周辺の人物に「この先も政府内やPTからの仲間内からの批判が続くようなら、年内いっぱいで辞任したい」ともらしたとの17日付エスタード紙の報道などで、一気に広まった。
その背景にあるのは、ルーラ前大統領の存在だ。ルーラ氏は、社会政策費を切り詰める傾向の強いレヴィ財務相のことを以前から良く思っておらず、6月のPTの党大会以降、一貫して同財務相への批判を続けている。今月13日には、中央労組の委員会でルーラ氏がレヴィ氏の切り詰めを批判した後に「レヴィ、やめろ」コールが起こっていた。
ルーラ氏は15日にジウマ大統領と対面した際も、レヴィ氏に関し「有効期限に限りがある」と評した。
かねてからレヴィ氏を擁護してきたジウマ大統領は、こうした憶測を前に改めて財務相を擁護。一部で流れていた、16日にネルソン・バルボーザ企画相やジャック・ヴァギネル官房長官を交え、レヴィ氏の今後の処遇についての会議を行ったとの噂も否定した。
ジウマ大統領は、ルーラ氏から財務相の交代を求められたこともない、と語った。だが、実際にはルーラ氏は同氏が大統領在任中の中銀総裁だったエンリケ・メイレレス氏の財務相入閣をジウマ第1期政権の頃から主張し続けており、ジウマ氏がそれを拒む状態が続いている。
ジウマ大統領は19日も、スウェーデンのステファン・ロベーン首相との記者会見の席で大統領罷免や経済危機について問われ、「ブラジルは安定を求めており、構造的な軋轢の存在などはない。調和がとれた三権分立が行われている民主国家だ」と答えた。また、同国製の航空機〃サーブ〃36機の購入が反故となる可能性を否定。エドゥアルド・クーニャ下院議長の秘密口座については「ブラジル人として恥ずかしく思う」と語った。
クーニャ議長は数時間後、ブラジリアで記者会見を行い、ジウマ大統領を皮肉るように「世界最大の汚職スキャンダルの真っ只中の連邦政府を恥ずかしく思う」と語った後、最高裁に却下された、自身の主張する下院でのジウマ大統領罷免の手続きの進め方に関して上告する意向を示した。