サンパウロ市保健局によると、14年の黒帯の薬の使用者は10年より47%増えて87万4400人、使用量は52%増えて1億6680万錠に達したと12日付エスタード紙が報じた。
市販薬には、副作用が少なく、医師の処方箋もいらない帯なしと、副作用や依存症を起こす可能性が強く、処方箋がいる赤帯、黒帯がある。赤帯の中でも向精神薬は副作用などを起こす可能性が強く、白い処方箋持参の上、薬剤師が薬を取ってこなくてはならない。黒帯は頻脈や心臓疾患などの副作用や有害反応が起こる可能性が更に強く、鎮静作用や中枢神経への影響も考えられるため、青い処方箋が必要だ。
黒帯の薬の代表は抗うつ剤で、使用者は40万9100人が54万400人(13年は56万9700人)、使用量は7640万錠が1億720万錠(13年は1億1380万錠)に増えた。
次いで使用者が多い抗不安薬(マイナートランキライザー)では、使用者は9万2千人が20万3300人(13年は21万2400人)に、使用量も1540万錠が3330万錠(13年は3480万錠)に増えた。
統合失調症やそう状態治療用の抗精神病薬(神経弛緩薬、メジャートランキライザー)の使用者は9万1700人から13万700人に、使用量も1800万錠が2630万錠に増えている。
黒帯の薬の使用者や使用量増加は、精神科が扱う病気への偏見が減った事や、職場や家庭でのストレス、暴力事件多発、財政難、近親者との死別などの問題を抱えている人が多い事が原因だ。
15年1~9月の黒帯の薬使用者は、抗うつ剤47万1800人、抗不安薬16万7100人、抗精神病薬11万8600人で、年間の使用者、使用量は共に記録更新が見込まれている。専門家は、サンパウロ市のうつ病患者の半分は治療を受けていないと見ており、貧しい人はうつになる可能性も高いが治療を受けるのが難しいと説明している。