ブラジル南部サンタカタリーナ州のジョインビリ、ブルメナウ、フロリアノポリスの3都市を市場調査で回ったが、ブラジルはやはり広い。ヨーロッパ、特にドイツ風の街並み、白人比率の高さ、街の清潔さ、オーガナイズされた雰囲気がある。
黒人と同時に、日系人にもめったに会わない。さらに、北部が40度超えの暑い日だったが、長袖2枚は必要な寒さであった。
ブラジルの調査データは間違いも多く、本当に一部を切り取って全体に見せたりするので、まったくあてにせず、自らの足で歩いたお陰で、今回も様々な発見があった。
多様な店舗を見て回ったが、南部特有のスーパーマーケット、ショッピングセンター、薬局があり、南東部や北部・北東部とは分断された印象を受けた。
もちろん、ショッピングセンターの中は、お馴染みの全国ブランドの店舗がたくさんあり、かわり映えはしないものの、地域の人気店もあり、興味深かった。
特に南東部のショッピングセンターには、ほぼ一店しか入っていないのに、この地域ではいずれも3つ以上の大型玩具店が入居しており、子どもの数の多さや子ども向けの消費意欲の高さを感じた。
スーパーも、全国どこにでもあるロジャースアメリカーナスは別として、アンジェローニやハバンなどの南部特有のチェーンがあり、品揃えや強いブランドも南東部とは違っていた。
ブラジルの都市部を歩いて最初に驚くのは薬局の多さだが、大きなチェーン店が代わる代わる出て来て、街の風景の一部になっている。
サンパウロならば、ドロガ・ライア、ドロガリア・サンパウロ、オノフレなどであり、リオであれば、パンチェコ、ドロガシルといった感じだが、南部ではそれらの店舗はほとんど見ない。
南部の街に溶け込んでいるのは、カタリネンセであり、ファルマシア・セッシといった店舗だ。薬局も最近はM&Aの嵐が吹き荒れており、どんどん大手に吸収されるとともに、外資の傘下に入ったところもある。
また、一部の進んだところでは、法律改正により、医薬品以外も扱えるようになり、一気にコンビニ化が進んでいる。ブラジルでのコンビニ化の第一弾はガソリンスタンドで、第二波はもともと24時間経営のノウハウのある薬局ではないかと思っていたが、その通りになりつつある。
まだ緒に就いたばかりなので、日本のいずれかのコンビニも中堅の薬局を買収してブラジル進出をしないだろうか。
このようにブラジルは、日本の約23倍の広い国土の中で、地域ごとに特徴を持った流通があり、消費者の肌の色、国のオリジン、気候や風土がまったく違い、それに合わせた展開が必要となる。
さらに、広い国土に対応するのであれば、本来日本式に問屋、一次卸、二次卸と販売ネットワークを張り巡らせたいところだが、これまで述べてきたように税制の壁がそれをさせてくれない。なるべく中抜きをして、直接店舗に卸さなければ、とんでもない末端価格になってしまう。
一方、業界で1、2のシェアと取ると、信じられないくらい儲かるのもブラジル。ゴールをそこに定め、きちんとした市場調査に基づいて論理的な戦略を立て、それを実行するのに十分な投資を一気呵成に行って、ブランドを築けば、極めて美味しい市場であることも真実だ。
しかし、偶然?行き当たったブルメナウのオクトーバーフェストで、景気の良いドイツにタイムスリップをした気分でジョッキを傾けながら、ブラジル人が信じられない日本の不都合な真実がそれを許さないのかもしれないなあと思いつつ、約1年続いたこのコラムの筆を置かせていただきます。ご笑読ありがとうございました。皆様のビジネスの成功と健康を祈念して、“サウージ!”。