24、25日に全国高等教育試験(Enem)が行われ、770万人の出願者中、577万人が受験した(棄権率25・5%)と24~26日付伯字各紙が報じた。
この試験は、一部の公立大学の入学者選抜と、私大の奨学金受給者選抜などに使われ、受験者の追い込みの様子や、遅刻しそうになって門の閉まる直前に駆け込む受験者の姿は10月のブラジルの風物詩となっている。
今年のEnemで物議を醸したのが、試験2日目の小論文のテーマに「ブラジルに残る女性への暴力について」が選ばれた事だった。
「このテーマは学校でしっかり教えられなければいけない。未来を担う若者に、ブラジル社会に未だはびこる〃男性優位主義〃を克服して欲しい。そのためにこそ、問題提議が必要なのだ」と、教育の権利を求める国民運動(CNDE)コーディネーターのダニエル・カーラ氏は語った。
このテーマは受験生にとってはさほど難しいものではなかったようだ。「学校で特別このテーマに対する授業や討論をした事はないけど、メディアがこの問題を取り上げない日はほとんど無いから、やりようはあった」というのは工学部志望のルーカス・ソアレスさん(17)だ。
試験初日(24日)の人文科学の問題でもフェミニズムに関する問題が出され、反響を呼んでいた。女性の人権問題を扱う事に批判的な態度を表明した人物には、ジャイール・ボウソナーロ下議(進歩党・PP)、マルコ・フェリシアーノ下議(キリスト社会党・PSC)らがいる。フェリシアーノ下議は「一方的なジェンダー論の押し付けになりかねない」とインターネット上で発言し、批判を浴びた。
アロイージオ・メルカダンテ教育相は、「意見の相違はあって然るべきだが、教育の場では常に、この問題への理解を深め、議論する機会が開かれていなくてはならない」とした。
ジウマ大統領も、「ブラジル社会は女性への暴力撲滅のために戦っていかなくてはならない」との声明を発表した。