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危機の中でも新車発表=14年とほぼ同じ42種

 今年は経済的、政治的な危機の真っ只中で、自動車販売は07年以降で最悪といわれているが、今年の新車の発表は年内発表予定のものを加えると、14年とほぼ同じ42種となる見込みだ。
 新車のモデルや生産計画は発表の2~3年前から動き始めるため、発表直前に生産を止めたりするのは難しい。コンサルタント会社ロランド・ベルガーのマルチン・ボデウィグ氏が「経済危機の影響は即座には出てこないが、今後徐々にあきらかになる可能性はある」というのも、そのあたりが原因だ。
 今年発表されている新車は、例年のような大衆車ではなく、高級車タイプが中心だ。これは、大衆車購入の中心的な役割を果たして来た新興中流階級が経済危機の影響をより強く受けているためで、ここ数週間の内に発表される予定の新車の値段は5万から32万レアルだという。
 42種の新車は、国内で生産された新モデルや初めて輸入される外国製の新モデルで、生産ライン変更に伴うモデルチェンジや特別バージョンなども含めると、45種になるという。
 ジャット社のミラド・カルメ・ネット氏によると、1~9月の乗用車と軽商用車の売り上げは21・7%落ち込んだが、10万レアルを超える車種の売り上げは昨年より22%、スポーツ車タイプも2・4%伸びているという。
 いわゆる大衆車の売り上げは19・7%落ちており、新型モデルも中国製のチェリーQQ(3万レアル)のみだった。
 ハッチバックタイプの売り上げも26%落ちており、新車はチェリー・セラー1種のみ。こちらはサンパウロ州ジャカレイーで生産され始めた。
 近年の消費者はますます、ハイテクや新モデルに関心を持つようになっており、従来は輸入していた車種の国産化なども進んでいる。
 今年は23種の新車を発表し、売り上げを14年比70%増としているメルセデス・ベンツ販売部長のディルレイ・ディアス氏は、高級ハイテク車の販売が伸びないのはひとえにドル高レアル安のせいだとしている。同社は今年、サンパウロ州に新しい工場も開設したが、16年も今年と同じペースを保つのは不可能と判断。それは、今年のドル高が既に46%に及んでいるのに、販売価格への転嫁は3%に抑えているためだ。
 同社のライバルのBMWは、販売価格への為替変動分転嫁をずっと避けてきたが、為替変動で販売活動に影響が出ているのは確かで、マーケティング部担当のニナ・ドラゴネ理事も「いつかは転嫁せざるを得ない」と語っている。(26日付エスタード紙より)