下院の法規部門がジウマ大統領の罷免請求の一つを合法と認めたことが明らかになり、労働者党(PT)が、ラヴァ・ジャット作戦に関与した容疑でエドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)の退任を求める動きを控える方針を打ち出し、党内で波紋を呼んでいる。また、クーニャ氏自身も、自らの議員罷免を食い止めようと作戦を立てていると、29日付伯字紙が報じている。
クーニャ議長のラヴァ・ジャットの関与を示すスイスでの秘密口座発覚後、PTの下議たちは64人中32人が社会主義自由党(PSOL)が主導する同議長の議員罷免の署名に応じた。それは同議長が、かねてから反ジウマ勢力の急先鋒でもあったためだ。
だが、下院の法規部門が、法学者のエリオ・ビクード氏ら3人の手になるジウマ大統領の罷免請求を合法と判断。今週中にクーニャ議長に意見書を送付する見通しで、下院での大統領罷免審議が現実味を帯びてきた。
PT上層部はこの動きを抑制するため、下院の政治倫理委員会に属する同党議員にクーニャ氏罷免に賛同することを思いとどまらせる意向だ。
PTのルイ・ファルコン党首は「まだ最高裁の裁判にもかけられていない政治家をわれわれが判断するべきではない」と発言している。
クーニャ議長に穏便に対処するという路線は、かねてからルーラ前大統領が取っていたものだ。ルーラ氏は、ラヴァ・ジャット作戦で検察庁や連邦警察に対する捜査制限を行わない同党のジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相への批判も行っているが、PT内部ではカルドーゾ法相を擁護する流れも強く、クーニャ氏らをめぐって党が二分された状態となっている。
一方、クーニャ議長は自身に対する議員罷免の動きをなんとか食い止めようと必死だ。下院議長団は28日、同議長に対する罷免請求などを審査するための報告官にベト・マンスール氏(ブラジル共和党・PRB)を選ぶなど、罷免回避のための諸策を尽くした。
報告官役は同件を下院の監査委員会に持ち込むべきか否かなどを判断して議長団に報告するが、マンスール氏はラヴァ・ジャットの疑惑議員のひとりで、クーニャ氏の友人でもある。
また、フォーリャ紙によるとクーニャ氏は、自分に対する目をそらせるため、「民主党(DEM)のメンサロン」とも呼ばれた汚職疑惑で告発されたロベルト・フレイレ氏(現・社会大衆党・PPS)などの罷免審議を先に行うことなども画策しているという。
また、スイスの秘密口座に関する書類が虚偽のものであることをなんとか証明しようともしているという。
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