「エウ・アークレジート!」「エウ・アークレジート!」―。アトレチコ・ミネイロにとって、勝ち点差8で首位を突き進むコリンチャンスとの勝ち点差を縮め、優勝争いに踏みとどまる最後のチャンスである、11月1日の首位攻防戦。満員のホーム〃インデペンデンシア〃は、13年にリベルタドーレス杯を逆転で勝ち進んだ時以来、サポーターの合言葉となった〃Eu acredito!(俺は信じている)〃の叫び声がこだましていた。
前半は両者譲らず、一進一退の攻防が続いた。アトレチコ自慢のアルゼンチン人デュオ、ルーカス・プラットとダトロがコリンチャンスゴールを脅かすも、コリンチャンスはセレソンGKカッシオの好セーブもあり、点を許さない。
興奮したアトレチコのサポーターが指示を出しにフィールドに近づいたコリンチャンス監督のチッチに唾をかけたため、チッチがたまらずにベンチに戻り、フードを被って再登場。アトレチコ監督で元セレッソ大阪のクルピが、観客に止めるように呼びかけるという残念なシーンもあった。
試合が動いたのは後半25分、敵のボールを奪ったコリンチャンスCBフェリペが右サイドから鋭いクロス。一旦は跳ね返されるも、こぼれ球をチームのアシスト王のジャジソンが再びクロス、18歳の新鋭マウコンが頭で合わせて先制した。
勢いに乗るコリンチャンスは、29分にもジャジソンのアシストからヴァギネル・ラヴが豪快に蹴りこみ2―0。この時点でホームのアトレチコ・サポーターは意気消沈。帰りだす相手ファンに、コリンチャンスファンは「もっと見ていけよ!俺達チャンピオンのサッカーを!」と即興のコールを浴びせていた。
43分にはラヴとのパス交換から抜け出したセレソンのレナトのクロスから、途中出場のルッカがアクロバチックなボレーシュートを叩き込んで3―0、首位コリンチャンスが完勝した。
これで試合前には8ポイントだった両者の勝ち戦差は11。残り5試合での挽回はほぼ不可能となった。
コリンチャンスが次戦7日に勝ち、翌日8日アトレチコが勝てずに終わると、全国選手権はコリンチャンスの優勝が確定する。
試合後の会見で敵将クルピが、「まるで外科医のようだ(「正確にプレーする」の意)」と評したチッチ・コリンチャンス。4年ぶり6度目の戴冠は目前だ。(規)