ブラジル経済は、過去100年以上の歴史の中で最も厳しい危機に突入する可能性があると3日付エスタード紙が報じた。
エコノミストの間にはブラジルの景気後退は2年間続くとの共通認識が広まっているが、これは1930年以来起こっていなかった事だ。
専門家筋は今年のGDP成長率をマイナス3%と見積もっている。16年の数値はまだ未知数だが、最近出始めた一番悲観的なマイナス3%以上という予想が的中した場合、この2年間の景気低迷は、1901年に応用経済調査院(Ipea)による調査が始まって以来最悪のものとなる。
バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチは、来年のブラジルの成長率を今年より更に悪いマイナス3・5%と予想している。バンコ・フィブラの予想はマイナス2・6%で、BNP・パリバスはマイナス2・5%と見ている。
「今年の経済状況は今下半期、工業界、特に自動車産業界に引っ張られる形で全体が悪くなっている」と語るのは、サンタンデール銀行エコノミストのロドルフォ・マルガト氏だ。同行は今年のGDP成長率予測をマイナス2・8%からマイナス3・2%に、来年はマイナス1%からマイナス2%に下方修正した。
エスタード紙がアナリスト達に行った聞き取り調査によると、ブラジル経済喫緊の課題は「信頼感を回復すること」にあるとした。産業界全体と国民を覆う不安感を払拭する事が、消費や設備投資の上昇につながる。「今後の経済がどうなるかという事に対する明確な指標が示されていない。これは政治に関しても同様だ」とコンサル会社テンデンシアスのエコノミストにして、共同経営者のアレッサンドラ・リベイロ氏は語る。
「一般的に、景気低迷から脱出する時は数字の上でも明確な兆候が表れるが、今の不況には出口が見えず、回復は緩やかにしか見えてこない」と言うのは、ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre)コーディネーターのシルビア・サントス氏だ。
過去の例では、ブラジルが不況から脱する時には国外情勢が助けになる事が多かったが、現在は世界経済全体の伸びも緩やかで、ブラジルへの追い風もそれほど期待できない。