日本の自動車大手ホンダは10月30日、ブラジルの自動車市場の落ち込みを受け、サンパウロ州イチラピナに建設中の第2工場の操業開始を遅らせると発表した。10月31日付伯字紙が報じている。
ホンダのイチラピナ工場は今年4月には既に完成しており、ここ数カ月間で溶接や生産ラインのための設備もそろった。新規契約した従業員120人による種々のテストも実施済みだ。
だが、ブラジルにおける今年の自動車業の落ち込みを見て、16年上半期に予定していた操業開始を延期した。ブラジルの自動車産業はドル高の昂進や高インフレ、高金利、景気後退で大打撃を受けており、1~9月の同市場は平均20・5%、台数にして160万台の売り上げ減となっている。
それに対し、同時期のホンダの売り上げは昨年同期比17・4%増で、数少ない成功例となっている。その理由は3月発売の新車HR―Vがヒットしたことなどで、購入から納品まで2カ月かかるHR―Vは、既に同社一の売り上げを記録しており、スマレー工場は現在、1日平均2時間30分の残業を行っている。
新工場への投資額は総額10億レアルに上り、新工場が稼動開始となれば、同社の生産能力は、現在サンパウロ州スマレーにある年間12万台の倍となるはずだった。
その他の地場産業を持たないイチラピナ市は、新工場の操業開始延期の報道に、下請工場などを含む雇用創出が先延ばしされたと肩を落とした。
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