【既報関連】広島県の伝統芸能『広島神楽』の来伯公演が25日、文協大講堂で行われた。県内に100以上ある神楽団の中の選抜演技団25人は、『紅葉狩・八岐大蛇』の2演目を見事に演じ、2階席までほぼ埋まった会場を興奮の渦に巻き込んだ。
「紅葉狩」は平維茂が道に迷っていたところ、鬼の化身と気づかず姫の宴に加わってしまい、紅葉に心を奪われてしまうという物語。鬼との立ち回りは迫力があり、華麗に刀を振り回す姿に開場は魅了された。
「八岐大蛇」は8つの頭を持つ大蛇を須佐之男命が酒で酔わせた上で、勇猛果敢に一人で一体ずつ退治していくという物語。
大蛇は長さ7メートルほどもあり、光る目とうねうねと動き回る姿が不気味な印象を与えた。大蛇が威嚇するように観客に迫ると、この日一番の奇声にも近い大歓声が沸き起こった。
また2演目の間には、「恵比寿」が海外唯一の神楽団「ブラジル神楽保存会」によって演じられた。演技中に奏でられる奏楽には訪問団から一人加わり、初の日伯共演も実現した。
終演し、演者全員がステージに立つと、来場者総立ちで大きな拍手を送った。なおプログラムには、日ポ両語で解説が添えられ、難しい言い回しで進む物語の配慮が行き届いていた。
会場を訪れていた丹治隼人さん(34、二世)は広島県人2世だが神楽を見るのは初めてで、「迫力演技に驚いた。広島にこういう芸能があることを知れて良かった」と感心の様子だった。
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