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堤防が崩れ泥に埋まったMG州マリアナの市街(Corpo de Bombeiros/MG (baixa resolução))

MG州=鉱山の有毒汚泥堤が決壊=集落直撃、17人死亡か=近隣への活況被害に不安も

 ミナス・ジェライス州(MG)州都ベロ・オリゾンテ市(BH)より116キロ離れたマリアナ市にあるサマルコ社(以下、S社)の鉱山で5日午後3時半頃、鉱山廃水の堤防が決壊し、大量の泥水が津波の如く流れ出してベント・ロドリゲス地区の民家100軒余りを押し潰した。車やトラックも流され、鉱山職員1人が心臓発作で死亡、少なくとも25人が行方不明となっている。(6日付フォーリャ紙より、エスタード紙は17人死亡、75人負傷と報道)

 泥流が襲ったベント・ロドリゲス地区は、121戸、492人が住む集落で、高台以外は完全に泥に埋まった。「泥水が雪崩のように襲ってきて、家も学校も教会も診療所も車もみんな飲み込まれた。救出は困難で孤立化し、助けを求める人にもヘリでしか近づけない」と、マリアナ市保健局長のジュリアーノ・ドゥアルテ氏は語った。
 4台のヘリが住民の救出に出動し、6日の午前10時半までに500人が救出された。
 泥水は鉱山廃水や鉱物含有量が少ない土砂などをためた廃棄物集積場から流れ出したもので、鉄や化学物質が含まれている恐れがある。救出後に市の体育館、職業訓練校の校舎に収容された人々は、病院や自宅に向かう前に、シャワーで身体についた泥水をよく落とす事が義務付けられた。
 S社は「午後2時頃、現場周辺で地震のような振動が起きた」と語っている。また同時刻に現場より22キロ離れた、サンパウロ総合大学(USP)の観測室でもマグニチュード2・55(人が揺れを感じない程度)の振動が観測されている。堤防決壊はその1時間半後に起こった。
 5日夜にはリカルド・ヴェスコービS社社長が事故原因と事故の全容は未だ不明だとの声明を発表した。S社は救助された職員の身元を確認したが、5日夜の時点で15人が行方不明とした。
 MG州浄水衛生管理担当のCopasa社は、現場検証後、同事故によるBH市都市圏に水を供給するダムへの影響はないとの見解を発表した。
 同州検察局も事故原因と責任を明らかにするために調査委員会を設立した。カルロス・エドゥアルド・フェレイラ・ピント検事は「堤防の決壊が偶然起きたとは考えにくい。厳密に調査を行う」と語った。検察局は崩壊の衝撃を調べるための技術チームも派遣した。同州環境局は最後に行われたダム強度検査は13年で、問題はなかったという。
 ジウマ大統領も行方不明者の救出のため、軍に待機命令を出した。6日午後には現場から100キロ先で新たな遺体も回収された。