上院と下院の議会調査委員会(CPI)は5日、連邦警察の「ゼロテス作戦」などで疑惑が浮上したルーラ前大統領の三男やルーラ政権の労働者党(PT)閣僚3人の不召喚を決めた。この背景にはルーラ氏が、上下両院議長に対して行った事前の根回しがあると見られている。6日付伯字紙が報じている。
上院ではゼロテス作戦の舞台となった税務監理審議会(CARF)のCPIが、同作戦で名前が浮上した、前大統領の息子のルイス・クラウジオ氏、ルーラ政権の大統領秘書室長で第1期ジウマ政権で総務室長官を務めたジルベルト・カルヴァーリョ氏、ルーラ政権末年に5カ月半、官房長官を務めたエレニセ・ゲーラ氏の3人の召喚案を否決した。
また、社会経済開発銀行(BNDES)の不正融資疑惑を扱う下院のCPIでも、第1期ルーラ政権で財務相、第1期ジウマ政権で官房長官を務めたアントニオ・パロッシ氏の召喚が見送られた。パロッシ氏経営のコンサルタント会社には2008年~15年3月、同氏がコンサルタントとして関与し、BNDESとの契約が成立した諸企業から2億1600万レアルが振り込まれたと、1日付エスタード紙などが報じている。
6日付エスタード紙によると、これらのCPIがルーラ氏と関係の深い人物召喚を見送ったのはルーラ氏擁護のためで、前大統領がPT側近らと共に、レナン・カリェイロス上院議長やエドゥアルド・クーニャ下院議長(共に民主運動党・PMDB)に近い陣営と3週間前から話し合ってきた結果だという。
最大の鍵は、ルーラ氏自身が先週、PT首脳らに、ラヴァ・ジャット作戦で疑惑の政治家として検察庁のリスト入りしている、両院議長をはじめとした政治家たちに充分な自己弁護の機会を与えるよう求めたことだ。
クーニャ氏は、同作戦での収賄の証拠と見られるスイスの秘密口座の存在が明らかになり、議員罷免の危機に晒されている。18年選挙も眼中に置くルーラ氏は、クーニャ氏を攻撃しない代わりに、ジウマ大統領の罷免議案や、連邦政府やPTを困らせる目的で下院議長が設立した年金ファンドやBNDES、さらに上院が設けたCARFのCPIを骨抜きにし、自分やジウマ氏への影響を回避する意向だ。
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