2016年2月5日開幕のサンパウロ・カーニバルまで3カ月を切り、衣装、山車の準備に追い込みの各サンバ・エスコーラ(エスコーラは直訳「学校」だが、サンバ学校は存在しない。「グループ」といった意味合い)は、ドル高の影響で輸入品の材料の調達に苦労している。
「ドル高のせいで材料が高いだけじゃない。多くの材料はもう手に入らない」と言うのは名門サンバエスコーラ〃インペリオ・カーザ・ヴェルデ〃の総監督ジョルジ・フレイタス氏だ。同氏は入手困難な材料として、羽毛を挙げた。「これまで30羽使っていたところを20羽にするが、量はへらしても質は落とさない」と続けた。
パレード全体を統括する同氏の仕事は、仕上げの妙と洗練さに定評がある。経済危機によってこれまで使えた材料が使えなくなり、代用品を見つけなくてはならないし、実情にあった品揃えが求められる。「これでより創意工夫が必要になった」と同氏は語る。
エスコーラ〃アギア・デ・オウロ〃のアマリウド・デ・メロ氏も「(お金が)ポケットから出せないなら(アイデアを)頭から出すしかない」と冗談を言う。
同氏は高騰した材料として、衣装の仕上げに欠かせない、ガロンと呼ばれる飾り紐を挙げた。「ガロンはとても重要な材料なのに値段が3倍にもなった」という。
輸入品の品薄に伴う価格高騰は、国産品価格も引き上げている。「品薄を利用して、業者は足元を見てくる」と言うのは、〃モシダーデ・アレグレ〃のシジネイ・フランサ氏だ。
〃ペロラ・ネグラ〃の財務責任者のマルセロ・プジョル氏は、解決策の一つは国産品をこれまで以上に使う事とし、「羽毛をふんだんに使うという意味でリッチなカーニバルではなく、創造性や仕事量でリッチにしていかなくてはいけない」と述べた。
同エスコーラ総監督のファビオ・ボルジェス氏は、今年のテーマは「ダンス」だから、羽毛を大量に使う必要はなく、軽く踊りやすい衣装である事が重要とし、例年は大量に使うアセテート(化学繊維の一種)も今年は少ししか使っていないと語った。
35年間サンパウロ・カーニバルの衣装用の材料を販売している、アクリマソン区の〃パラシオ・ダス・プルマス〃(羽毛の宮殿の意)のオーナー、エリアス・エミール・アヨウブさんによれば、今年の売り上げは例年の50%で、経済危機のため、ここ2年間は材料の輸入もしていないという。ここ数年の動きは「これまで見た事がない」とした上、「あまり悲観的になりたくないが、現実を見なくてはいけない」と語った。(9日付G1サイトより)