連邦政府が議会に提出した16年予算を審議するため、両院合同の予算委員会が選んだ報告官のリカルド・バロス下議(進歩党・PP)が、ボウサ・ファミリア(生活扶助、BF)の予算を10億レアル削減すべきと言い出したが、それに従うと、サンパウロ州では現在の受給者の61%が受給資格を失うと政府側が反論している。9日付エスタード紙が報じている。
バロス下議は、16年の基礎的財政収支を黒字決算にするためには、ボウサ・ファミリア用に計上されている288億レアルの約35%にあたる100億レアルの削減が必要だという。
連邦政府のシミュレーションによると、全国に4780万人いるBF受給者のうち、半分近くの2320万人が受給できなくなるという。2320万人はブラジルの総人口の11%にあたり、来年だけで25万7千人の子供や未成年者が学校をやめる可能性がでてくる。
人数の上で最も影響を受けるのはサンパウロ州で、現在500万人近くいるBF受給者のうち、61%にあたる290万人が受給資格を失うという。
また、受給資格を失う州民の比率が最も大きいのはパラナ州で、75%にあたる140万人が影響を受けるという。
連邦政府のシミュレーションでは、BF受給者の中でも、仕事をしてBF以外の収入もある所得の高い層からカットしていくとこういう数字になるという。奇しくも、サンパウロ州やパラナ州は州知事が野党の民主社会党(PSDB)の州だ。受給カットはミナス・ジェライス州やバイア州でも大きいが、ピアウイやマラニョンなどの貧しい州で資格を失うのは30%以下と見られている。
バロス報告官はこの削減案を予算委員会にかけた場合は「承認されるだけの賛成票も得られる」と見ており、地元(パラナ州)州民への影響は考えていないという。
だが、社会開発省市民所得局のエルムート・シュワルゼル局長はこの削減案に関し、「馬鹿げている。こういう状況だからこそ、問題を悪化させるのではなく、社会を緩衝する布団のような政策が必要なのに」と異議を唱えている。
BFの削減案には、ジウマ大統領やルーラ前大統領だけではなく、一部野党議員からも反対の声が上がっている。