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秋篠宮両殿下=アマゾンをじっくりご堪能=トメアスー産品の展示も=市場で魚や鶏類にご関心

 パラー州都ベレンを訪問された秋篠宮同妃両殿下は3日午後4時半から、アマゾン入植86周年を祝う汎アマゾニア日伯協会で在留邦人ら25人とご懇談された後、地元日系人約300人が出席した講堂での歓迎式典に臨席された。翌日はヴェル・オ・ペーゾ市場やアマゾン河、エミリオ・ゴエルジ(エミール・ゲルディ)博物館キャンパスをご視察され、世界に誇る熱帯雨林の生態系の一部を堪能された。

 「殿下は27年前のことを覚えておられました」。開会の辞を読んだ北伯県人会協会の山本陽三会長(80、香川県)は式典後、本紙の取材にそう声を弾ませた。
 「当時、私が経営する民芸品店にお立ち寄りになり、水牛の皮でできた女性用の小さな鞄を買って行かれたんですよ。たしか紀子さまと婚約された頃。プレゼントするために買われたんではないかとご推察します」。殿下からのご求婚が86年といわれており、前回ご来伯が88年、ご婚約公表が89年。まさにその時期だ。
 さらに山本会長が「殿下は昔と変わらずお若いですね」とのべると、殿下は「ああ、髪を染めてますから」と気さくにお答えになったという。
 式典では開拓先亡者への黙祷が捧げられ、生田勇治日伯協会会長が「4回も皇室に来ていただけたことは、我々日系及びベレン市民の価値との絆の深さを再確認させるもの。心からご長命をお祈りします」と歓迎の辞をのべた。
 同地ミス・ニッケイから花束が贈られた後、秋篠宮殿下は「このたび妻とともに再びこの地を訪れ、日系社会の皆様とお会いできましたことは大きな喜びであります」と語りかけられた。
 佐藤平治さんが万歳三唱の発声をし、和太鼓こどんと琴の会による演奏が披露された。会場入り口にはトメアスー総合農業共同組合が生産するカカオや胡椒、果実加工品なども展示された。
 パラー州日伯商工会議所の山田フェルナンド会頭は式典前の懇談で「すでに五世世代に入っているが、まだ日本文化は健在だと殿下に直接英語で申し上げたら喜ばれていた」と笑顔を浮かべた。
 その後、州知事とご引見になり、ラウロ・ソドレ宮での知事主催の夕食会に参加され、ジャンブーのリゾッドなどの郷土食に舌鼓を打たれた。
 両殿下は翌日朝8時からアマゾン産品や民芸品がズラリと並ぶヴェル・オ・ペーゾ市場を視察され、家禽類コーナーで「インジオ・ギガンチ」等について熱心に質問されるなど隅々までじっくりとご覧になった。

日伯協会の入り口で子供らの歓迎を受ける秋篠宮殿下

日伯協会の入り口で子供らの歓迎を受ける秋篠宮殿下


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 汎アマゾニア日伯協会の生田勇治会長に、式典の3時間前に会ったとき、「挨拶文はもうできましたか?」と尋ねると「ヴァジオ、ヴァジオ(空)」と頭を指差した。なんと即興で、両殿下に歓迎の辞を述べるのだという。こんな度胸の良い歓迎式典主催者は、殿下が世界各地を訪問される中でも珍しいのでは。とはいえ、一度見たら忘れない「写真的記憶力」の持ち主といわれる生田会長だけに、本番でも細かい数字をたくさん挙げながら、一カ所も口ごもることなく立派にこなしたのは、さすが。