【既報関連】ミナス州マリアナ市のサマルコ社鉱山で5日に起きた鉱山廃水用ダムの堤防決壊事故の影響で、同州イパチンガ市に本社があるパルプ製造メーカーのセニブラが10日、7日からパルプの生産を中止し、代替案を検討中である事を公表したと11日付エスタード紙が報じた。
同社は1973年、日本の製紙メーカーや商社が設立した日伯紙パルプ資源開発会社(JBP)とブラジルの資源メーカーのリオ・ドッセ(現ヴァーレ)が共同出資して発足し、1977年にイパチンガ工場の操業を開始。民営化後のリオ・ドッセが2001年に競売にかけた持ち株をJBPが優先権を行使して買い取って、100%日本資本の会社となった。正式名称はセルローゼ・ニッポ・ブラジレイラ株式会社。
同社のパルプ生産量は120万トンで、ブラジルの生産量の6・5%、世界では4%を占める。日本にも、2012年にJBPとセニブラを連結子会社化した王子製紙中心にパルプを供給している。
セニブラが生産を停止したのは、サマルコ社鉱山の堤防決壊で、大量の泥や重金属を含んだ泥水がイパチンガ工場で使う水を取水するドッセ川に流入したためだ。生産再開の時期は不明確だが、ドッセ川流域に大量の雨が降って汚染状況が改善されれば、比較的短期間で再開される可能性があると見られている。
ブラジルのパルプ業界は1~8月に昨年同期比8・6%増の750万トン、金額にして50億ドル分(昨年同期比2・3%)を輸出している。同社の生産停止は予想外で、スザノ製紙やフィブリアなどの国内製紙メーカーや国際市場との受給バランスが崩れてパルプ値上がりの可能性も高まった。
なお、エスピリトサント州内のドッセ川には、10日から汚水が流れ込み始め、一両日中には汚泥も流れ込み始めるはずだ。フィブリアは同州の工場には100日分の水を確保しているとし、操業を継続する意向だが、ミナス、エスピリトサント両州では飲用水確保や農業その他で堤防決壊の影響が出てきており、エスピリトサント州政府もサマルコ社に罰金を科す事を決めた。