ホーム | 特集 | 秋篠宮同妃両殿下ご来伯特集第2弾 | アマゾン にこやか、気さくに握手=歓迎式典の出席者とご歓談=「とても親しみが湧きました」
歓迎式典の全景
歓迎式典の全景

アマゾン にこやか、気さくに握手=歓迎式典の出席者とご歓談=「とても親しみが湧きました」

 皇室がパラー州都ベレンをご訪問されるのは、今回が4回目。最初は皇太子同妃時代の天皇皇后両陛下が1978年(移民70周年)、2回目は礼宮時代の秋篠宮殿下が1988年(移民80周年)、3回目は両陛下が1997年(移民90周年)に来られた。秋篠宮殿下は27年前のご訪問をふまえた内容のお言葉をあちこちで述べられ、アマゾン地方に強い関心を持たれている様子だった。3日、汎アマゾニア日伯協会で行われた約300人による歓迎式典で両殿下と話をした人や、歓迎準備に奔走した皆さんにその時の様子を聞いてみた。

 

生田勇治会長

生田勇治会長

 汎アマゾニア日伯協会の生田勇治会長らは3日昼、ベレン空港にご到着を出迎えにいった。「お疲れさまでした。ようこそお出で頂き、ありがとうございます」と秋篠宮殿下に挨拶した際、生田会長はつい習慣で手を出した。すると殿下も気さくに握手で応えられ、妃殿下も。
 それに続いた堤剛太副会長も「ようこそいらっしゃいました」と握手。事前に総領事館からは「ブラジル式挨拶は禁止」とのお達しがあったにも関わらず、出だしからなかば当地式に。
 生田会長は「秋篠宮殿下は本当に親しみやすい方。妃殿下もシンパチカ(社交的)。それにブラジルに来られる前に、わざわざ横浜の海外移住資料館や、神戸の『海外移住と文化の交流センター』に足を運ばれ、移民の歴史を勉強されてから来られている。本当に立派な方だ」と感心した様子を見せた。
 式典後、婦人会の河口祐子会長(71、福岡県)は「まさか妃殿下と話ができるとは思わなかった。なんでも妃殿下は、日本で婦人関係の団体の顧問をしていらっしゃるそうで、お声をかけていただきました」。おそらく恩賜財団母子愛育会の総裁に就任されている件のことだろう。
 「とても話しやすい方で、親しみがわきました。殿下からも『来て何年ですか?』と質問していただき、『40年になります』と答えました」という。
 同婦人会は平均年齢70歳、会員数は60人余り。3カ月に一度、誕生会をするなどの活動を続ける。会計の三浦千香子さんも「写真まで一緒に撮っていただき、本当にうれしかった」と語った。

 

式典準備に気合い入れ=アマゾンならでは花材で

勅使河原和風会アマゾン支部の五十嵐さんと清水さん

勅使河原和風会アマゾン支部の五十嵐さんと清水さん

 歓迎式典当日の朝から講堂入り口では、勅使河原和風会アマゾン支部が特別な生け花を用意していた。
 参与の清水映心さん(71、群馬県)は「めったにないことなので気合が入ります」と忙しそうに手を動かす。「バストン・ド・インペラドール(帝王の杖、桃色)を中心に、シャペウ・デ・パナマ(緑色)、シャンプー(黄色)などアマゾンならではの花材で歓迎いたします」。
 五十嵐皇花さん(68、神奈川県)も「天皇皇后両陛下が来られた97年にも歓迎式典会場の平和劇場に生け花を生けさせてもらった。その2年前に免状をもらったばかりだったので、とても感慨深かった。今回も張り切っています」という。

 

「後輩のお世話に」と恐縮=東京農大校友会の田部さん

奥が東京農大の田部さん、前列が琴の会の皆さん(中央が田部奈津子さん)

奥が東京農大の田部さん、前列が琴の会の皆さん(中央が田部奈津子さん)

 歓迎式典の前、東京農大のベレン校友会会長をする田部軍司さん(73、神奈川県)には、同協会の事務局で戸惑いの表情を見せていた。
 というのも、殿下から事前にご指名があったからだ。「殿下は自然科学に深いご興味を持たれている関係から、東京農大の非常勤講師をされていると聞いている。その関係かと思うが、何を話していいやら」と喜びの表情を浮かべた。
 1967年にサンタイザベルに入植し、以来現在までそこで農業一筋の人生だ。主に菊やデンデ椰子を生産する。「僕は6期生だが、2期生なんかは一つのクラスから3分の1がトメアスーに入植した。僕らは杉野忠夫先生の薫陶を受け、『海外発展』という考え方に心酔していた。みんな後悔していないと思う」とアマゾン開拓に賭けた生涯の一端をふり返った。
 式典後にもう一度尋ねると、「どうも僕の後輩が、殿下が東京農大に来られるたびに応対している関係で、ご指名があったようだ。『田部さんの後輩の方にお世話になっています』とおっしゃられ、恐縮至極です」とのこと。
 式典のアトラクションを担当した琴の会(丸岡邦子代表)4人の一人は、田部さんの妻奈津子さん(69、神奈川県)だ。「目の前を妃殿下が通られた時、『さきほど琴を弾かれていた方ですね。素晴らしい音色でした』とのお言葉をいただきました。とても気さくに話しかけていただき、握手までしていただきました」と満面に笑みを浮かべた。

 

「パラー州の郷土食を」

丸岡美智子さん

丸岡美智子さん

 丸岡美智子さん(39、二世)は「皇后陛下のお名前をいただき、両親が私に付けてくれました」とほほ笑む。丸岡さんが生まれた3年後には、皇太子同妃時代の両陛下が実際にベレンをご訪問された。
 マニソバやパット・ノ・トゥクピーなどの代表的な料理名を挙げ、「日本では大豆から味噌や醤油を作るが、ここではマンジョッカが全ての郷土料理の基本。秋篠宮同妃両殿下にはパラー州が誇る郷土食が堪能していって頂きたいです」との期待を語った。