【既報関連】5日にミナス・ジェライス州(MG)マリアナ市でサマルコ社の鉱山廃水ダムが決壊してから12日が経過した。6200立方メートルもの廃水が流出してドッセ川に流れ込み、流域に深刻な被害をもたらしていると14~16日付伯字紙が報じている。
今回の事故で、ブラジル全体の鉱山廃水ダムの強度検査が不十分であることが浮き彫りになった。国家水資源庁(ANA)による廃水ダム強度調査報告書によると、事故が起きる可能性のあるダムの内、緊急事態行動計画書を作成しているダムは15%にあたる165のみだった。
サマルコ鉱山には、5日に決壊した二つの廃水ダムよりも大きな、ジェルマノダム(Gダム)がある。マリアナ市で活動している消防隊司令官のルーベン・ク ルース氏は13日、伯字サイトの取材に答え、Gダム堤防に亀裂があることを明かした。チアゴ・ミランダ隊長によれば、ダムの亀裂は約3メートルに及ぶとい う。亀裂の存在は、地上から捜査できる小型飛行物体のドローンにより確認された。
13日朝、ドゥアルテ・ジュニオル・マリアナ市長は、Gダム決 壊の危険性があり、ダムは引き続き監視下にあると述べた。同市長はサマルコ社には公式に確認していないが、同社従業員が問題を報告したと述べた。「この状 況下で、情報は隠匿されてはならない。Gダムには確かに亀裂がある」と強調した。
鉱業生産局(DNPM)の調査監査コーディネーターで地質学者 のルイス・パニアゴ・ネーヴェス氏は、一般に鉱山廃水と泥は無毒で、川底に沈殿し、水が濁りはするものの、その水を取水し、飲んでも健康に害はないとして いるが、実際に流れ出た廃水の有毒性に関する調査結果は出ていない。
ドッセ川流域で汚泥の混じった廃水が既に到達したゴヴェルナドール・バラダ レス市のオミール・キンチーノ上下水道サービス局長によれば、同市に到達した廃水を調べた結果、有害物質の水銀の他、大量の鉄分を含んでおり、浄水処理も 不可能だという。同川流域では魚が浮いた、川の水を飲んだ家畜が死んだといった報告も相次いでいる。また、泥が乾くとセメントで固めたようになり、植物が 育たないため、将来的に水位低下などが起きることも心配されている。