『第37回念腹忌、並びに第27回潔子忌、並びに第5回牛童子忌全伯俳句大会』が先月18日、サンパウロ市の熟連会館で開催された(サンパウロ木蔭俳句会主催、朝蔭発行所後援)。
麻州ナビライ、ドイス・イルモンス、アシス・シャトブリアンなどサンパウロ州各地から直弟子、孫弟子ら48人が参加。念腹、潔子、牛童子、3氏の遺影も並び、師の名に恥じないよう気運を高め、各々が渾身の一句を詠んだ。
兼題投句には今年も日本の俳誌「九年母」より過去最高の39人から投句あり、当地の俳人たちを喜ばせた。
午前9時頃から吉田しのぶさんの司会で開始。大会委員長の杉本絃一さんが「残る力を振り絞り、念腹先生の教えを守っていきたいと思います」と挨拶。寿和さんは「国内はもとより北米、日本よりたくさんのご投句をいただいた」と報告した。
一般は5句投句5句選、代表選者は6句選で、内1句が特選に選ばれた。投句、清書をすませて選句に移り、その後は句友同士の交流をしつつ、昼食をとった。
披講には中馬和子、永田美知子(一般選)、西山ひろ子、浅海喜世子、寺尾芳子(代表選者選)、村上士郎(寿和先生選)各氏が立ち、席題互選の総合点で一位に輝いた鈴木文子さん、二位の西山ひろ子さん、三位の馬場照子さんには記念カップが贈られた。
席題上位3人からその一句を掲載。「祖国より絆の献句念腹忌」鈴木文子、「来ぬ人を心に集ひ念腹忌」西山ひろ子、「稚鴎囲む句会に少女春の弓場」馬場照子。
兼題特選句(寿和選)は次の通り。「畑打つてコチア青年国造り」西川あけみ、「朝東風を五輪マークの帆に受けて」西谷晃、「信念の揺らぐことなく東風に佇つ」長田美奈子、「東風に乗り俳句王国築き上ぐ」鈴木文子、「春愁や吾子も仲間の教師スト」笹谷蘭峯、「春愁や被爆の足を引きずりつ」武田知子、「強東風は試練や坂の札所寺」猪谷信子(日本)、「翻る巫女の緋袴東風強し」斉木富子(日本)、「草餅を含めば広ごる郷の景」平井朝子(日本)「草餅や里の野のいろ野のかをり」小柴智子(日本)、「春愁や心に本音閉ぢ込めて」阪本玖美子(日本)、「春愁ふ来し方想ひ末思ひ」みやおか秀(日本)。他の作品は文芸欄で詳報。
席題特選句
寿和選
生涯の学びの場とし念腹忌」西山ひろ子
「娘に添はれ空馳せて来し念腹忌」小原加代
「国貧し黄金に燃ゆる金鳳樹」西谷律子
「薩摩芋供へ床しき潔子の忌」原はる江
「八百号言祝ぐ年の念腹忌」西山ひろ子
「俳諧てふ生きるともし火念腹忌」馬場照子
「歳時記は私の聖書牛童子忌」二見智佐子
「初咲きのパウブラジルに畑明し」古賀マリア
「せっかちな児大らかな児のシャボン玉」 西川あけみ
「素十師も涙す献身潔子の忌」香山和栄
席題特選句 一般選者
浅海喜世子選、平野住代選
「耳にある「ネーン」の名のり念腹忌」星野 瞳
伊藤きみ子選、古賀マリア選、武田知子選、 山城みどり選
「一滴の大河となりし念腹忌」平間浩二
太田英夫選
「千年も同じ歌とや夕サビア」浜田一穴
角田梢選
「仮の世の真を詠ひ念腹忌」小斎棹子
黒木安希子選
「潔子姉の気品偲ばる花菖蒲」永田美知子
児玉和代選
「まだ胸の高鳴ることも念腹忌」西谷律子
作本登実子選
「句を詠めば独りにあらじ念腹忌」小斎棹子
城良子選、伊達幹選
「念腹忌和語の魅力を担ふ弟子」角田梢
住谷ひさお選
「祖国より絆の献句念腹忌」鈴木文子
中馬和子選
「優雅なる帝の御紋菊香る」林とみ代
寺師幸子選
「せつかちな児大らかな児のしゃぼん玉」西川あけみ
富岡絹子選
「虚子師との絆尊し念腹忌」菊池信子
西山ひろ子選
「永劫に貴ぶ心念腹忌串間いつえ」串間いつえ
西川あけみ選
「二千キロつきそいくるる子念腹忌」平野住代
原 はる江選
「来ぬ人を心に集ひ念腹忌」西山ひろ子
馬場照子選
「アリアンサに稚鴎百歳念腹忌」小斎棹子
平間浩二選
「まほろばのホ句を紡ぎて念腹忌」林とみ代
前田昌弘選
「金儲け下手な男の大朝寝」太田英夫
森西茂行選
「師の遺訓永久に学べよ念腹忌」林とみ代
山口まさを選
「娘に添はれ空馳せて来し念腹忌」小原加代
吉田繁選
「青き踏む母に合せる歩調かな」中馬和子
席題特選句 代表選者選
菊池信子選
「叙勲をも固辞されしてふ念腹忌」永田美知子
串間いつえ選
「ジャカランダ踏まぬ心も三師の忌」二見智佐子
小斎棹子選
「地下鉄で会ふ日本人念腹忌」串間いつえ
香山和栄選
「稚鴎囲む句会に少女春の弓場」馬場照子
小原加代選
「囀りに覚めて鍬研ぐ日の出前」笹谷蘭峯
小村広江選
「うららかや等身大の句を詠まん」鈴木文子
笹谷蘭峯選、林とみ代選
「俳諧てふ生きる灯火念腹忌」馬場照子
杉本絃一選、西谷律子選
「命ある俳句を詠めよと念腹忌」小斎棹子
鈴木文子選
「木蔭誌の巻頭誇り耕せる」香山和栄
寺尾芳子選
「潔子忌に親しみ深きジャカランダ」原はる江
栃沢秋穂選、村上士郎選、吉田しのぶ選
「祖国より絆の献句念腹忌」鈴木文子
永田美知子選
「二千キロつきそいくるる子念腹忌」平野住代
浜田一穴選
「物干しの片竿かつぐ梅の枝」太田英夫
樋口玄海児選
「春は行くチプアナ咲いて雨降って」住谷ひさお
二見智佐子選
「無事終了地蔵に恃む念腹忌」佐藤寿和
星野 瞳選
「春の街ジーンズを買ひ紅を買ひ」鈴木文子
三原春風選
「仲直りせず来し牛童子忌今日参る」星野瞳
兼題特選句 寿和選
「畑打つてコチア青年国造り」西川あけみ
「朝東風を五輪マークの帆に受けて」西谷晃
「信念の揺らぐことなく東風に佇つ」長田美奈子
「東風に乗り俳句王国築き上ぐ」鈴木文子
「春愁や吾子も仲間の教師スト」笹谷蘭峯
「春愁や被爆の足を引きずりつ」武田知子
「強東風は試練や坂の札所寺」猪谷信子(日本)
「翻る巫女の緋袴東風強し」斉木富子(日本)
「草餅を含めば広ごる郷の景」平井朝子(日本)
「草餅や里の野のいろ野のかをり」小柴智子(日本)
「春愁や心に本音閉ぢ込めて」阪本玖美子(日本)
「春愁ふ来し方想ひ末思ひ」みやおか秀(日本)
席題入賞者
一位 鈴木文子 六点
二位 西山ひろ子 五点
三位 馬場照子 五点
四位 小斎棹子 五点
五位 平間浩二 四点
六位 原はる江 三点
七位 香山和栄 三点
八位 小原加代 三点
九位 二見智佐子 三点十位 西谷律子 三点