【共同】東京海上日動火災保険が来月から、海外進出している企業の駐在員の悩みを聞き、アドバイスする無料のメンタルケアサービスを始めることが20日、分かった。海外旅行保険を契約している企業が対象。サービスを充実して保険の販売増加につなげる狙い。
中小企業の海外進出が相次ぎ、少人数で展開している企業も多いことから需要があると判断した。「こころのカウンセリングサービス」は、事前に予約をすると、東京海上の子会社が採用している臨床心理士に国際電話やメールで相談に応じてもらえる。現地での暮らしの悩みや、職場での人間関係についてアドバイスしてもらえる。
外国に赴任する駐在員らを医療面で支援している海外邦人医療基金が、2013年に中国の駐在員に実施したアンケートによると、日本語で「メンタルケア」に対応する機関が必要との回答が57・5%に上った。東南アジアなどで実施した調査も同様の結果が出ており、同基金は「高い需要がある」と指摘している。
外務省の統計によると、14年の日系企業の海外拠点数は05年の約2倍の約6万8千カ所となり、在留邦人は約1・3倍の129万人と急増した。アジア、アフリカ諸国で増加が目立った。日本人コミュニティーが形成されていない国もあるため、駐在員や家族の精神面のケアが課題となっている。