ブラジル日本語センター(板垣勝秀理事長)が創立30周年を迎え、10月24日にサンパウロ市内の伯米文化連合会館で記念式典を行なった。1985年に旧日本語普及センターが設立され、13年に現在の名称となり、日本語教師の養成機関として貢献している。会員数は約500人、日本語学校は全伯で約350カ所ある。
当日は日系3団体、JICA、国際交流基金などから代表者ら300人以上が駆けつけた。挨拶に立った板垣理事長は「1980年代のデカセギブームにより、学習者が減るマイナス面もあったが、スピコンなどで優秀な人材が帰ってきたと実感する。今では継承日本語だけでなく、本気で学習したい人が集るようになった。我々もそれに応えなければ」と気持ちを新たにした。
60歳以上で教師歴25年を目安に功労賞50人を表彰。ブラジリア日本語モデル校の校長で、ブラジリア日本語普及協会の三分一貴美子理事長が代表謝辞に立ち、「使命感を持って歩んできた教師生活。JICA、交流基金などには感謝しきれない。これからは1人の教師が2、3人の後継者を育てることが必要」と課題を挙げた。
協力者として18人にも功労賞が送られた。代表謝辞に立ったパラナ州マリンガ文協元会長の安永修道さんは、「父(忠邦さん)の影響で関心を持ち始めた日本語教育。35年前マリンガ転住を機に、バラバラだった日本語教育組織をまとめ『加古川・マリンガ外国語センター』を設立し、文協が運営している」と報告した。
南麻州ドウラードで同地の学校設立に尽力した藤田詔男さん(72、東京)、小中吉春さん(70、和歌山)は「昨年に創立25年を迎えた。モデル校としては先駆けではないか。実績を認めてもらえて嬉しい」。パラー州ベレンにある越知日伯学園の越知恭子学園長(68、広島)は、「日本語教育を通じ、時間を守ること、思いやりを持つ大切さを伝えている」と話した。
午後からは早稲田大学日本語研究教育センター非常勤講師の塩崎紀子さんが「つなぐ教育を求めて」をテーマに基調講演。「『熱い』と言われたら窓を閉めるが、『熱い』に窓を閉める意味は含まれていない。日常生活や文化体験の中から、言葉の持つ意味を考え、学習に生かすことが重要」などと説明した。教師や関係者が熱心に耳を傾け、全伯各地に散らばるJICA青年ボランティアの日本語教師約70人も参加した。