現役上院議員の初逮捕劇の陰で「ブラジルで13番目の金持ち青年実業家」も逮捕されていた。ヴェージャ誌電子版25日付は、46歳にしてフォーブス誌の世界の億万長者リストでも628位に名を連ね、「90億レアルの資産」を持つアンドレ・エステヴェス氏(投資銀行BTG・Pactual経営者)に「終わった億万長者」との見出しを付けた。同誌によれば、この銀行は2千億ドルもの顧客資産を運用する国内第4位の巨大投資銀行だ。金融市場への波紋も大きい▼iG電子版記事《無資本からブラジル有数の富豪に》によれば、リオ市チジュカ区の中産階級の家に生まれ、リオ連邦大学では数学を学び、投資銀行Pactual(以下P)で研修生として働きはじめた▼労働中毒の勤勉さで若くして経営者に上り詰め、P行をスイスUBS銀行に売った。08年の金融危機で同UBS銀行は危機に陥り、その間に彼が創業していたBTG(Back to the game=ゲームに復帰)というふざけたような名前の会社がP行を買い戻して破竹の勢いに。14年に英FT誌は「熱帯地方のゴールドマンサックス(世界最大手の投資銀行)」とまで呼んだ▼ちなみにラヴァ・ジャット作戦では「ブラジル9位の金持ち」も逮捕された。最大手建築会社オデブレヒトのマルセロ・オデブレヒト社長で、その資産は131億レアル(UOLサイト25日付)だ。とはいえ彼らは容疑段階であり、有罪になるかはまだ分からない▼アンドレの学生時代の夢は「金持ちになるためにガソリンスタンドを買うこと」だったとか。大富豪になったのに、ガソリンならぬ石油公社絡みで転落―とは少し皮肉か。(深)