連邦裁判所は鉱産局に対し、リオ連邦大学(UFRJ)国立博物館調査員、アレシャンデル・ケルネル氏に損害賠償金15万レアルを支払うように命じたと2日付フォーリャ紙が報じた。
先史時代研究の権威の一人である同氏は、12年に化石を盗み国外に密売した容疑で収監されたが、その後無実を訴え、鉱山動力省管轄の鉱産局を告発、勝訴した。
「この件で被った恥辱や職務上の不利益は、到底15万レアルの賠償金で埋め合わせできるものではない」と同氏は語る。同氏と同じ容疑で罪に問われた仏人科学者のロマン・アミオ氏も、鉱産局に対して同じ訴えを起こしている。
2人はセアラー州の地方空港で搭乗間際、化石を国外に密売したとの匿名の通報を受けた連邦警察により逮捕された。支援者がカンパで集めた援助もあり、保釈金を支払い翌日釈放されたものの、失われた名誉は甚大だった。
「事件は世界中に反響を巻き起こし、私だけでなく、同僚への中傷も飛び交った。どれほどの講演会、採掘プロジェクトがキャンセルされただろう」と同氏は語る。
判決文では「同氏の不当逮捕は同氏に著しい精神的苦痛を与え、誤った情報を流し、同氏の社会的信用を失墜させた」と結論付けられた。
鉱産局には15万レアルの損害賠償金の支払いの他、大手新聞とインターネット上への同氏の名誉回復広告の掲載が義務付けられた。
ケルネル氏は、名誉回復の点では満足を見せたものの、賠償金額に不服で、控訴の意向だ。「時間がかかることは承知しているが、この金額では到底満足できない」と語る同氏は、賠償金の大半をブラジル内の化石研究補助の基金設立に使う意向を示している。
鉱産局側も判決を不服とし、控訴の構えだ。