エドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)は2日、ジウマ大統領の罷免請求を受理し、手続きを進めると宣言した。この宣言は、クーニャ氏の議員罷免を問う下院倫理委員会で、労働者党(PT)の委員が同氏の罷免議案継続を支持すると発表した直後になされた。3日付伯字紙が報じている。
クーニャ氏はラヴァ・ジャット作戦に関する議会調査委員会で国外の秘密口座はないと偽証した責任などで倫理委員会にかけられている。同委員会では1日から同議長罷免審議を継続するか否かの投票が始まり、1日の段階では7対1で継続支持と不利な状況だった。
クーニャ氏は委員会前日、「PTの委員3人が継続に票を入れたら大統領罷免を通す」と脅しをかけ、大統領府もPT委員に議長温存を求めた。だが、PT内では同議長への反感が強く、ルイ・ファルコン党首が1日に「審議継続」に投票するよう進言。ルーラ前大統領や連邦政府はクーニャ氏を刺激しないよう働きかけていたが、委員3人が2日に「審議継続」に投ずる意向を明らかにした後、大統領罷免手続き開始が宣告された。
クーニャ氏は今年、大統領罷免請求を34通受け取り、33通はお蔵入りさせたが、エーリオ・ビクード氏ら3人の法学者からの請求を採択した。この請求は、連邦会計検査院(TCU)が14年度会計で財政責任法違反に問うた粉飾会計が15年も継続して行われていることや、今年の予算案に反する大統領令が6回出たことなどを問題にしている。クーニャ氏も「14年承認の年間予算法12592号第4条に違反する」責任を問う形で大統領の罷免審議を進めると説明した。
ジウマ大統領はこの宣言の後、閣僚11人と共に大統領府で会見を開き「非常に憤っている」と語った。さらに「私は国外に秘密口座など持っていない」とし、ラヴァ・ジャットで収賄用に使われた疑いがあるスイスの秘密口座の存在が、ネット上で写真や署名入りのコピー付で暴露された同議長を皮肉った。
PTのファルコン党首も2日、「クーデターなど通用するはずがない」とクーニャ氏を批判したが、最大野党・民主社会党(PSDB)党首のアエシオ・ネーヴェス上議は「私たちは連邦政府の不正に基づいて罷免議案を出しており、クーニャ氏の手続きは正当だ」と反論した。PSDBは秘密口座などに関する下院議長の弁明後、同氏罷免支持を打ち出している。
大統領罷免の手続き開始を受け、下院は3日に特別委員会を発足、4日までに委員長と報告官を決める。大統領が10回目の会議までに提出した弁明は5回の会議で検討され、下院本会議で罷免の可否が審議される。下院が3分の2の342人以上で承認すれば上院に送られ、3分の2の54人以上の賛成で罷免となるが、下院での罷免承認は困難と見られている。
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