エドゥアルド・クーニャ下院議長が、自身の汚職による議員件剥奪の危機と引き換えにジウマ大統領の罷免議案を受理し、手続きを進める宣言をしたことはブラジルにショックを与えているが、4日付フォーリャ紙は各界の有名人の意見を紹介している。
興味深いのは、ジウマ政権での止まることのない汚職の発覚や、先行きの見えない景気後退がありながらも、それ以上にクーニャ氏の行為に対する不満が目立つことだ。
作家のフレイ・ベット氏は「国がひとりの人間の身勝手に振り回されている」とクーニャ氏を批判している。
また、政治学者のアウド・フォルナジエリ氏は「大統領の治世がいまひとつで経済危機にあるというだけでは、罷免の理由にならない」としている。同様の見解は女優で作家のマリア・リベイロ氏もしており「今、国は悪人の手にある。ジウマ政権はみじめなものだが、それでも選挙で合法的に選ばれた政権だ。最高裁が救ってくれることを願いたい」と語っている。
「選挙で選ばれた正当性」は映画監督のアナ・ムイラエルチ氏も語っているところで、同氏はさらに「選挙結果をくつがえしてまで罷免しようとするのは、大統領が女性だからというのもあると思う」と語った。
さらに、元サッカー選手のヴァンペタ氏は「罷免されるとは思わない。(92年に罷免を受けた)コーロル大統領のときとは違い、野党が民間に罷免を煽る姿だって見ないじゃないか」と、以前の大統領罷免と比べて、説得力が足りないことを指摘している。
一方、詩人のフェレイラ・グラール氏は「っそれがブラジルにとって正しい道かどうかは知らないが、罷免請求自体は法的には正しい。ジウマ氏が国を治める能力がないのは確かなのだから」とクーニャ氏の手続きそのものの正当性を肯定する意見もある。
また、現野党の民主社会党のカルドーゾ元大統領のもとで財務相をつとめたルーベンス・リクーペロ氏は「一番良いのはジウマ氏が辞任すること。このまま続けたところで経済は良くならないだろうから」と罷免以前に辞任を薦める声もあった。
そして、ブラジルのバスケットボール史上最高の名選手と呼ばれたオスカー・シュミット氏は「今はブラジルの政治史にとって良い時代で喜んでいるよ。こんなに政治家が逮捕されたのは見たことないからね。今は少し苦しい時期だけど、良い未来がやってくるさ」と、現在の混乱後にブラジルの明るい未来がやってくるのを期待する声もあった。(4日付フォーリャ紙より)