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テープカットの様子
テープカットの様子

援協=SUS病院に救急診療所開所=地元の感謝受け14日始動=総額111万レかけ完成

 サンパウロ日伯援護協会(菊地義治会長)が聖南西サンミゲル・アルカンジョ市で運営するSUS対応病院内の「救急診療所」(PA)の開所式が5日、現地で行なわれた。設備機器はすでに設置済みで、今月14日から始動する予定。式には地元市役所の関係者らも訪れ、医療機関の充実による地域貢献に対して、感謝の言葉を述べた。

 PAの建築面積は約500平米。建物は全て完成しており、医療機器も設置済み。投資額は建設費約85万レアル、医療機器など約26万レをあわせ、総額111万レをかけて完成した。
 今年3月末に起工式が行われ、9月には建物が完成。10月に設備機械を設置。12月初めに市議会が運営に関する契約書に承認を出した。以前は市内にある別の救急診療所から患者が搬送されていたが、これで救急診療から入院まで一カ所で済むようになった。
 開所式には援協役員、中前隆博在聖総領事、市役所や文協関係者、日系議員ら約120人が出席した。
 挨拶にたった菊地会長は、「より良いサービスを心がけ、この地域の皆様に頼りにされる病院を目指す」と意気込みを語った。中前総領事は「救急診療所も開設され、この地域に親しまれる病院となり、ひいては日伯友好に大きく貢献されることを祈念する」と期待した。近隣の市を代表して挨拶したサラプイのファビオ・オルツ市長は「援協がこの地域の医療に貢献しているのは非常に大切なこと」と意義を述べた。
 オリベイラ・ジリボニサンパウロ州議は、「日系コロニアはブラジルでとても尊敬されている。雇用の面でも市の発展に寄与するだろう」と話し、太田恵子連邦下議は「この病院に関して手伝えることがあれば喜んでやらせてもらう」と表明した。
 サンミゲル・アルカンジョの小俵ジョゼ市長は、「私達の要望を聞いてくれた援協に大変感謝している。当市だけでなく、この地域全体への多大な貢献となる出来事だ」と賛辞を贈った。
 その後、玄関口でテープカット、プレートの除幕、建物の内部公開が行われた。参加者は受付、診察室、レントゲン室、超音波検査室などを見学した。
 サンミゲル・アルカンジョ文協の森エリオ会長は、「救急診療所ができてとても嬉しい。以前は病気になったら別の地域の病院に行く必要があった。今回、病院もPAも一カ所にできて、大きな安心感が生まれた」と喜びを語った。
 セレモニー終了後、一行はサンミゲル文協会館に移動し、地元太鼓グループの演奏や食事を満喫した。


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 サンミゲル・アルカンジョ市に運営するSUS対応病院内の救急診療所が開所されるにあたり、援協は近隣住民への告知のため5千枚のチラシを配ったという。以前は病院が無い時期もあった地域だけに、開所式では援協への感謝の言葉が多く聞かれた。救急診療所で診察してもらい、必要があればそのまま入院できる体制は、地元住民にとっても安心度が増したようだ。ただし高品質の医療を提供する援協だからこそ、運営費も高くつく。水準を落とさずいかに赤字を減らすかが今後の課題と言えそうだ。