世界平和の願いを象徴する〃ナガサキ誓いの灯〃をブラジルに――日伯外交樹立120周年を記念して、サンタカタリーナ州ラーモス移住地の草分け、長崎の被爆者の故・小川和己さんが私財を投じて2010年に建設した平和の鐘公園にある「平和資料館」へ、長崎を最後の被爆地とする「ナガサキ誓いの灯」を分灯することになった。9日にはサンパウロ市内ホテルで「種火到着報告会」と記者会見、12日には現地ラーモス移住地で式典が行われる。この様子はNHK長崎放送局が日伯密着同行取材して放送するという。
「ブラジル・日本平和の絆交流会」(中嶋年張代表)が主体となり、日伯友好議員連盟(麻生太郎会長)も後援に入って協力を呼びかけ、地元サンタカタリーナ州やフレイロジェリオ市が正式に受け入れ表明した。
今回、「ソウ・ジャポネーザ」などの移民歌でコロニアおなじみの歌手の井上祐見が〃分灯の使者〃として14回目の来伯、息子「笠戸丸ともやす」も初めて同行する。日本側の分灯式典は11月29日に長崎で、12月1日には河村建夫友好議連幹事長らも出席して在京ブラジル総領事館(マルコ・ファラー総領事)で開催済み。
井上祐見のマネージャー・中嶋代表は長崎出身。ラーモスを3度訪れ、小川さんから直接に被爆体験を聞き、地元の小学生らと交流を深める中で、《小川さんの願いである「恒久の平和」への想いを繋ぎ、灯していく為に「ナガサキ誓いの灯」を分灯する活動を決意しました》と趣意書に動機が説明されている。
旅客機に〃火〃を載せることは大変困難であり、当初はジウマ大統領が訪日する際に専用機で運んでもらえないかと交渉するなどの苦労もあったが、灯を電気に変換してランタンとして手荷物で運ぶことになった。
またパリ経由で来る予定だったため、突然の同時多発テロの発生で空港警備の厳重化が危ぶまれたが、中嶋代表は「平和の灯がテロに屈する形で予定を変更したくない」とあえてパリ経由のまま来伯する。
その昔、ギリシャで古代五輪中、聖火が灯されている間は全ての戦いが中止されたとの故事から、聖火は「平和の象徴」とされ、人類最後の被爆地長崎に83年、その聖火が贈られた。日本国内では8カ所に分灯されたが、海外は今回が初めて。
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