【リオ発】来冬、ブラジルは南米大陸で初の夏季五輪を迎える。8月5~21日のオリンピック、9月7~18日のパラリンピックを前に、現地ではどれぐらい準備が進んでいるのか。ブラジル日本商工会議所の運輸サービス部会(細谷浩司部会長)が企画したリオ五輪施設の視察見学会(11月18、19日)に同行し、選手村などの施設が集中するバーラ地区を中心に視察した。(小倉祐貴記者)
初日午前9時前、現地集合だった記者は、長距離バスターミナル「リオ・ノーヴォ」からサントス・ドゥモン空港に向け、基幹バス「プレミウム・アウト・オニバス」に乗車した。
この青色の特別バスは路線のどこでも降りられる仕様で、使いこなせば結構便利。サントス・ドゥモン、ガレオンの両空港から各バスターミナルなど市内要所を走り、路線により乗車賃は9~14・65レアルとなっている。
無事に乗り込んだが、待てども待てども目的地にたどり着かない。空港まではたった10キロ弱の距離なので、「多少混んでいても30分あれば着くだろう」という読みが甘かった。結局1時間たっぷりかかり、しょっぱなから集合時間に遅刻するかも―と冷や汗をかくハメに。
昨年9月にヴィニシウス・ラージェス観光大臣は「リオ五輪では100万人の外国人訪問者を期待する」と発表していた。それに加え、国内観光客も数十万人はいるだろう…。普段からこの渋滞なら、世界中から来訪者が集まる五輪ではどうなるのか――と想像するだけで再び冷や汗が流れる。
空港で合流したリオ在住40年のベテランガイドも「どの道を通ったの? 1時間もかかるなんて。まあ通勤時間内ではあるけれど…」という。リオでは午前10時まで通勤ラッシュが続くというのも驚きだ。
視察参加者約40人を乗せた飛行機は18日午前、サントス・ドゥモン空港に到着。五輪に向けて再開発が進められているセントロの市街地に出ると、目の前に広がったのは鉄道建設真っ最中の工事現場だった。
これが期待される「都市鉄道システム」(VLT、Veiculos Leves sobre Trilhos)で、無事に稼動すれば、市街地の道路渋滞はだいぶ緩和されるだろう。もっとも、間に合えば――の話だが。
計画では6路線の全長約28キロで56駅を設置予定。約26万人/1日という輸送能力を備える。「半年後の16年6月完成」を目指すが、現在はいたるところでレール敷設の真っ只中だ。
工事を見守る市民にさりげなく意見を聞くと、「まあ五輪には間に合わないと思うけどね」となかば呆れた様子。視察に参加した建設関係の駐在員らも「まさか今工事を始めたばかりじゃないよね? これじゃあ、半年たっても動いてないでしょ」と苦笑いした。(つづく)