ブラジルの政治的・経済的な混乱が深まり、世界3大格付会社の一つのムーディーズが9日、ブラジルの債務信用格付を3カ月以内に投機的(ジャンク)等級に引き下げる可能性を示唆したと10日付伯字紙が報じた。
同社による信用格付は8月に、かろうじて投資適格のBaa3に引き下げられている。格付は通常1~2年据え置かれるが、ブラジルは経済状況が急速に悪化し、2~3年で回復する見込みも低いため、再度見直すという。
同社では、政治的な混乱で公的財務の適正化は難しく、構造改革も困難と判断。大統領罷免問題も加わり、早期回復は無理と見ている。格付据え置きの条件は、国内総生産(GDP)の2%前後の成長と、基礎的財政収支の黒字もGDPの2%前後となる事だ。同社の予想は今年が3・5%、来年も3%のマイナス成長で、中銀の調査でも3・5%と2・31%のマイナス成長と予想される中、格下げは必至だ。
同社の格下げ示唆は、下院が罷免審議の特別委員会に野党提出のシャッパを承認した事で、株式市場が3・75%上昇、ドル価が2・27%下落した後に発表された。
スタンダード&プアーズによる信用格付は9月にジャンク級のBB+に下げられており、ブラジル政府は残る2社の格付維持に望みをかけていたが、ムーディーズの格下げ示唆で懸念はいや増した。
財務省関係者らの間では、10月にブラジルの信用格付を投資適格の最下位に当たるBBB-に引き下げたフィッチも、1月にジャンク級に引き下げるとの見方が出ている。
3社の信用格付がジャンク級となれば、国際的な投資ファンドもブラジル国債に対する投資を差し控えるはずで、今月中に予想される米国の政策金利引き上げと絡み、国外投資激減が懸念される。
ムーディーズは9日、ペトロブラスの信用格付を投資適格より3ランク下のBa3に下げた。
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