ホーム | ビジネスニュース | レヴィ財相=予算黒字目標に職を賭す=「ゼロ黒字」なら辞任覚悟=GDPの0・7%に固執
9日、国家電力庁(Aneel)18周年イベントでのレヴィ財相(Jose Cruz/Agencia Brasil)
9日、国家電力庁(Aneel)18周年イベントでのレヴィ財相(Jose Cruz/Agencia Brasil)

レヴィ財相=予算黒字目標に職を賭す=「ゼロ黒字」なら辞任覚悟=GDPの0・7%に固執

 ジョアキン・レヴィ財相が9日夜、上下両院合同予算委員会(CMO)の代表者たちに、来年度の基礎的財政収支黒字目標を国内総生産(GDP)の0・7%とする案が通らなかったら辞任する意向を表明したと11日付伯字各紙が報じた。
 同財相は政府内の折衝で、黒字目標をGDPの0・7%にあたる438億レアルとすることで合意を得ていた。しかし、ネルソン・バルボーザ予算企画相とジャッケス・ヴァギネル官房長官は黒字幅を200から300億レアル下げる案を支持しはじめている。この案では黒字額は実質ゼロ%となってしまう。
 同財相は、黒字目標をゼロとする「ゼロ黒字」案は、格付け会社のムーディーズやフィッチがブラジルの格付けをさらに下げて「投資不適格級」とする危険を高め、経済危機をさらに深刻化させると懸念している。「ゼロ黒字」は今年の不調を16年に持ち越させ、景気回復を遅らせると共に、17年以降の動向も危険に晒すとも語った。
 来年の黒字目標額をゼロにする案は、7日に議会の中から発生した。主な推進者はロメロ・ジュカ上議(民主運動党・PMDB)で、同上議は、市場関係者は0・7%の黒字案達成は困難とみており、政府は現実的でない目標を振りかざして信用を落とすべきではないとしている。
 これに同調したPMDBの上議や労働者党(PT)の下議は、「ゼロ黒字」を視野に入れた連邦予算基本法(LDO)の変更案を15日に提出する予定だ。PT議員たちは、「ゼロ黒字」を打ち出す事で、PT政権の看板政策である経済活性化計画(PAC)やボルサ・ファミリアなどの社会保障政策費の削減回避を主要目的としている。
 議会の動きを受け、企画相と官房長官はジウマ大統領にも実質「ゼロ黒字」予算案への賛同を求めたが、ジウマ大統領はレヴィ財相からGDPの0・7%という黒字目標維持は不可欠との進言を受け、返答を保留した。
 レヴィ案では、438億レアルの黒字分の内、305億レアルは連邦政府の責任で果たさなくてはならず、残りは各州、自治体の責任となる。基礎的財政収支の黒字を確保し、16年から債務軽減を始める事はレヴィ財相の財政改革の3本柱の一つで、同財相は黒字枠確保に職を賭す覚悟だ。