故富重かずまさん(元ニッケイ俳壇選者、俳誌『蜂鳥』元主宰)を偲ぶ『第10回かずま忌俳句大会』が5日、文協サロンで行われ、40人の俳人が俳句三昧の一日を過ごした。
近藤玖仁子さんの司会で始まり、遺影が飾られたかずまさんをはじめ、先立った句友らに黙祷が捧げられた。かずまさん亡き後、主宰を務める妻の久子さんが挨拶し、参加者から10年間の感謝を込めた花束と拍手が贈られた。
兼題は昼寝、暑中見舞、桑の実、かずま忌と年末一切。参加者は5句を無記名で投句し、互いに7句を選んだ。作品が披講され代表選者の講評が述べられた。採点発表後に賞品授与、最後に間部よし乃さんが閉会の辞を述べ、和やかなうちに終了した。
総合得点で一位に輝いた大原サチさん(90、鹿児島)は句会に通い始めて5年足らずだが、20点を獲得。驚きと感激の表情で「名前を呼ばれるたびに緊張。スラスラとは行きませんが、何とか練り出して詠んでいます」と控えめながら初の栄光を喜んだ。
また富重久子さん選による特選(かずま賞)は、近藤玖仁子さんが選ばれた。代表選者選(特選、次点の順)と総合順位は次の通り(敬称略)。
【富重久子選】「ソムリエの動き美し聖夜かな」(近藤玖仁子)、「ヴェルディのアヴェマリア聴くかずまの忌」(森川玲子)
【広田ユキ選】「大往生せしごと爺の大昼寝」(伊那宏)、「かずまの忌父似母似の三姉妹」(篠崎路子)
【浜田一穴選】「昼寝するござに葉っぱの二三枚」(須貝美代香)、「かずま忌や十年重ねてわれ卒寿」(梅崎嘉明)
【伊那宏選】「暑を問うて明治の舅の心入れ」(橘鏡子)、「相聞歌いのちの証かずまの忌」(吉田しのぶ)
【梅崎嘉明選】「塀越しに落ちる桑の実路地染まる」(建本芳枝)、「昼寝して草分移民上寿とや」(山口まさを)
【総合順位】一位=大原サチ(20点)、二位=山本紀未(16)、三位=伊那宏、広田ユキ(15)、四位=上田ゆづり(14)、五位=鈴木文子(13)
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