ジウマ大統領は15日、16年度の基礎的財政収支黒字目標を国内総生産(GDP)の0・5%(305億8千万レ相当)とする修正予算案を議会に送付したと16日付伯字各紙が報じた。
大統領府の決定は、レヴィ財相が主張していたGDP0・7%黒字(438億レ相当)と対立するものだ。同財相は9日に、GDPの0・7%という黒字目標が引き下げられたら辞任すると発言し、大統領に圧力をかけていた。
ジウマ大統領はジャッケス・ヴァギネル官房長官とリカルド・ベルゾイニ総務室長を送り、大統領罷免運動の起きている中、大統領支持派が主張している黒字幅引下げ要請を受け入れる事が肝要と財相を説得させた。
伯字紙によると、財相は黒字引き下げに反対しつつも、大統領の決定に従ったようだ。財相補佐官によれば、財相は今のところ、通常通り執務を続けているという。
黒字目標額を当初の438億レから、305億8千万レに引き下げるという政府側の提案は、16日に予定されている両院合同予算委員会での連邦予算基本法(LDO)の報告書の投票で承認される見込みだ。
この提案では、入札などで想定している政府歳入が入ってこない場合、黒字目標額と同額の305億8千万レを上限に、公共設備投資の削減などを行い、歳入減の埋め合わせにあてる意向だ。
この埋め合わせが行われれば、基礎的収支の黒字額は実質的にゼロになる。これはネルソン・バルボーザ予算企画相が、景気減退を理由に提唱していたものだ。
レヴィ財相は大統領府が決定を下す前、黒字目標削減は景気回復を遅らせ、ブラジル債務への信用格付引下げ加速化への懸念を示し、目標削減への反対姿勢を公表していた。
下院の政府副リーダーで予算委員会報告官のリカルド・バロス下議は、16年度の会計をGDPの0・7%の黒字とするには社会福祉政策のボルサ・ファミリア(BF)の予算を100億レ削減する必要があるとしている。政府側はBF削減は事実上不可能としているが、レヴィ財相は「財政黒字とBFを混同してはいけない。BFを切れないから財政黒字も達成できないと言う説には反対だ」と語っている。