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最高裁での投票風景(José Cruz/Agência Brasil)
最高裁での投票風景(José Cruz/Agência Brasil)

最高裁でジウマ側が勝利=大統領罷免手続きの審理で=野党シャッパと無記名投票却下=審議の継続は上院が選択

 17日、最高裁でジウマ大統領罷免の手続きに関する審理が行われ、下院が8日に無記名投票で決めた野党側のシャッパ(リスト)などが却下され、大統領側に有利な結果が出た。18日付伯字紙が報じている。

 今回の審理は、8日に下院で行われた大統領罷免問題に関する特別委員会のメンバー選出方法を不服とする、大統領寄りのブラジル共産党(PCdoB)が起こした訴えをうけたものだ。報告官は罷免手続きの中断を命じたエジソン・ファキン判事で、複数のシャッパ提出や投票方法などの罷免手続き全般について、判事全員で審理した。
 ファキン判事は16日に報告書を読み上げ、民主運動党(PMDB)の委員を大統領寄りの下院リーダー、レオナルド・ピッチアーニ氏が独断で選んだことを不服とする同党議員や野党側が、反ジウマ色の濃いシャッパを提出したことや、二つのシャッパの選択が無記名投票で行われたことを是とした。
 同判事はまた、連邦政府側が望んでいた「下院で大統領罷免の決定が出ても、上院が覆すことが出来る」ことを否定するなど、下院側に有利な判断を行っていた。
 だが、判事投票の結果はファキン判事の思惑とは反対になった。「政党リーダー以外の人物が選んだシャッパで委員会を組む」は4対7、「投票は無記名でもよい」も5対6で反対が上回った。
 また、「大統領罷免手続きの継続に関し、上院は下院と違う結果を導くことができる」は8対3で賛成となった。これにより上院は、下院が「罷免」という決定をした場合も、審議継続か否かを決めることができる。上院が過半数で審議継続を決めた場合にのみ、大統領は最大180日間の離職を強いられる。上院が審議を継続し、3分の2が賛成を投じれば、大統領の罷免が成立する。
 罷免支持派の唯一の勝利は、ジウマ大統領側が求めていた「下院が罷免請求を受理する前に大統領側の弁護を認めさせる」に11人全員が反対したことだけだった。
 記名投票と政党リーダー選出のシャッパのみを採択、審議継続の可否は上院が判断の3点で、3点とも大統領側に有利な票を投じたのはリカルド・レヴァンドウスキー長官、ルイス・ロベルト・バローゾ、ローザ・ウェバー、カルメン・ルシア、ルイス・フクス、マルコ・アウレーリオ・メロの各判事だった。バローゾ判事は「92年のコーロル大統領の罷免時の例に従った」と判断基準について語り、さらに「議会側が投票直前にやり方を変更したことを問題視した」という。
 一方、ファキン判事以外で前記3点全てで罷免支持派側に有利な票を投じたのは、ディアズ・トフォリ判事とジウマル・メンデス判事だった。奇しくも両判事は選挙高等裁判所の正副長官で、14年大統領選挙でのジウマ大統領のキャンペーン不正に関する審議を現在も継続している最中だ。