『ブラジル日系文学』第51号(発行者=武本憲二、編集者=中田みちよ)が11月に発刊された。小説・随筆特集となっており、日語144頁、ポ語38頁もあり、内容的にも実に読みどころが多い。
中でも、文協美術展の特選を目指して熾火のように真っ赤な執念を燃やし続ける画家・野村達治を描いた小説『鎮魂の歌』(能美尾透)、13歳から13年間も日本にいる初恋の彼女と手紙のやり取りをし続けた単独青年移民と20歳で結婚した女性が夫の死後、彼が遺した切ない〃想い〃を伝える小説『初恋の人』(有沢マリ子)など。
巻末特集には『伯剌西爾時報が果たした役割~初期のブラジル文学の翻訳』(中田みちよ)では15頁に渡って、戦前の邦字紙に掲載された翻訳文学について、多数の文献を引用しながら解説をしており、同時報社長の黒石清作の生涯に関する興味深い考察が綴られている。
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