「時が来れば分かる」―。ジョアキン・レヴィ財相が財務省での最後の日に表明したのは、1月に決めた経済政策を全うするために尽力してきた事と、これまでに行ってきた事(とそれを妨害された)結果はやがて明らかになるとの確信だった▼国際的な知名度などが認められ、ブラジルの経済立て直しを託されての財相職。だが、経済政策と人事は全権委任のはずが、ジウマ大統領を始めとする政府や与党からの圧力や議会との軋轢などで、度重なる政策変更を迫られた▼国際通貨基金や信用格付会社は、政府や議会が一体と化して財相を支援、財政調整を全うする事を前提にブラジルへの評価を維持していたのに、財相を招いた大統領自らが言葉を変え、政策変更も強いたのでは、予定通り事が運ぶはずがない。大統領と相性がいいのは後任のバルボーザ企画相の方だが、金融市場を睨むならレヴィ氏の方が歓迎されるから選ばれたのに、自分のやり方を通したいという大統領の癖が何度も財相を悩ませた▼財相が「次回委員会にはいない」という言い方で辞意を明らかにした後、ジャッケス・ヴァギネル官房長官は「実際に経済政策を決めるのは大統領で、財相はそれを実行するに過ぎない」とも発言している。閣僚は皆、コマの一つだと言われたらそれまでだが、レヴィ氏の辞意表明で後任はバルボーザ氏と決まった18日は、証券市場がかつてない程値を下げた。景気の早期回復と過去から引き摺ってきた諸問題解決で、ブラジルの信用格付維持や負債返済をと奮闘したが、1年であえなく離任した財相の予言(?)がどんな形で現れるのか、気がかりなまま、新しい年への秒読み態勢に入っている。(み)