ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ポ語博物館で大火災発生=サンパウロ市ルス駅も機能止まる=煙吸い消防士1人死亡=18Cからの歴史遺産大損害
消火体制の不備が大惨事を招いた(炎上するポルトガル語博物館)/(Bombeiros do Estado de Sao Paulo)
消火体制の不備が大惨事を招いた(炎上するポルトガル語博物館)/(Bombeiros do Estado de Sao Paulo)

ポ語博物館で大火災発生=サンパウロ市ルス駅も機能止まる=煙吸い消防士1人死亡=18Cからの歴史遺産大損害

 サンパウロ市中央ルス区、ルス駅駅舎に併設されているポルトガル語博物館(MLP)で21日午後3時50分頃、大規模火災が発生し、同博物館の主要部分が消失、ルス駅を通る公共交通網にも影響が出たほか、同館勤務の消防士が1人死亡したと22日付伯字各紙や21、22日付各紙サイトが報じた。

 21日午後3時50分頃、駅舎の2階から出火した火事はMLPの大部分を消失させた。MLPは同駅舎の左側約3分の2にあたる部分の2~4階に開設されており、旅行情報サイトが今年発表した南米の美術・博物館ランキングで5位の評価を得ている。
 この火災で、MLP勤務の市民消防隊員ロナウド・ダ・クルスさんが、消火活動中に大量の煙を吸い込み、死亡した。
 火事は駅舎の左側3階、4階を焼失させたが、中央の時計台や、サンパウロ州都電公社(CPTM)、地下鉄ルス駅の構造部分までは火の手は回らなかった。
 現場を訪れたジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)は、ポルトガル語博物館をできるだけ速やかに修復させると明言した。
 火事は午後3時50分頃に発生し、2時間半後に消し止められた。大量の煙や灰が現場周辺を舞い、木製の屋根は焼け落ちた。時を同じくしてサンパウロ市中央部に降った猛烈な通り雨は、消火活動の一助となった。
 マルセロ・アラウージョサンパウロ州文化局長は「MLPはほぼ全体が被害を受けた。大惨事だ」と語った。
 サンパウロ州沿岸部サントス市と内陸部ジュンジャイー市を結ぶ鉄道の中間地、サンパウロ市の玄関口として、ルス駅は1867年に建設され、1902年に改築以来、ほぼ現在の形で存在している。1946年の火災で駅舎の約3分の2が焼失したが再建され、サンパウロ市の歴史遺産に登録された。使われていなかった駅舎の一部を使ってMLPを開館するプロジェクトが動き始めたのは改築100周年の2002年で、2006年3月に開設された。
 MLPを含むルス駅駅舎は消防局による防災基準認定や、サンパウロ市による営業活動の許可も受けていない。アラウージョ局長はMLPには防災用の全ての設備は整っており、職員の訓練も充分だったとしているが、設備設置後の消防署の点検は行われておらず、正式な認定は受けていなかった。
 今回の火災発生後、匿名のMLP職員は、警報はすぐに鳴ったが、スプリンクラーからは水が出ず、火の勢いが弱いうちに消すことができなかったとしている。
 22日付のジアリオ・デ・サンパウロ電子版によると、出火原因は照明器具の交換中に起きた電気系統のショートの可能性があるという。