当地の名作小説「メウ・ペ・デ・ラランジャ・リマ」の日本語訳『ぼくのオレンジの木』(ポプラ社、302頁)が発売されている。翻訳した永田翼さんと松本乃里子さんが来社、思いを語った。
同作は著者のジョゼ・マウロ・デ ヴァスコンセーロスの半自伝的な作品で、90年以上前のリオを舞台に、感受性に満ちた5歳の少年ゼゼーの成長を描く物語。68年の発表以降、世界中で愛される。日本でも過去に英語版からの翻訳が発表されているが、原作からの直訳は初めて。
永田さんと松本さんは「原作は非常に複雑な文体で書かれている」と話し、その味を翻訳にも出すことに苦心したという。「読むほどに人間そのものへの理解が深まる。子どもはもちろん大人にこそ読んで欲しい作品になった」と自信を語った。
各日系書店で発売中。なおニッケイ新聞編集部でも取り扱っている。一冊105レ。
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『ぼくのオレンジの木』の帯には、作家・門野栄子さんが推薦の書評を寄せている。宮崎駿監督でアニメ映画化された小説『魔女の宅急便』などで有名な彼女には、ブラジルとの大きな接点がある。何と25歳の時に移民として当地へ渡り、2年間暮らしたのだという。作家としてのスタートも『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』(70年、ポプラ社)という当地で出会った少年との交流を描いたものだ。子どもから大人まで楽しめる同作、是非手にとってみて欲しい。