今年のブラジルでは景気後退(リセッション)に突入したことなどにより、2014年比で失われた国内総生産(GDP)が2400億レアルに上ると23日付フォーリャ紙(F紙)が報じた。
これは昨年比で生産が減少した農業、工業部門と、需要の減ったサービス部門が喪失したGDPの総和だ。自動車、機械といった耐久消費財から靴、衣類のような非耐久消費財に至るまで、各種のモノの生産が止まり、美容院、レストランなどのサービスの提供が行われなかった事になる。
2400億レ規模での生産低下の結果として、失業者の増加や設備投資の縮小も起きている。今年11月の失業率は7・5%で、昨年の4・8%から大きく増加した。
景気後退のコストの試算は、F紙の要請を受けた、XPインベストメント社のエコノミスト、ゼイナ・ラチフ氏によるもので、同氏は、今年の経済成長率は14年比でマイナス3・7%になると見込んでいる。
ラチフ氏は、14年に採用された電気代凍結その他の経済政策のミスで15年の不況はほぼ予見されていたが、その規模までは読めなかったとしている。政府が財政健全化に失敗し、格付け会社から軒並み投資不適格級の烙印を押されている今の状況は、事態を一層深刻化させるとしている。
経済専門家達は16年も今年の不況を引きずるとの見解で一致し、成長率予想も平均でマイナス2・8%となっている。
ラチフ氏は「回復前に治療を止めたガン患者のようなもので、治療開始時より弱体化している。財政調整も期待薄なことなどから、来年は今年並みかそれより悪いマイナス4%の成長もありうる」という。
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