第2期ジウマ政権初年である2015年は、年始に約束した公約のうち約3分の1を果たしたのみで、下院での連立与党の忠誠度も、ルーラ氏以降の労働者党(PT)政権では過去最悪で終わったと、27日付伯字紙が報じている。
フォーリャ紙は、2月2日にジウマ大統領が議会で行った演説で挙げた34の公約のうち、達成できたのは3分の1に満たない11に過ぎず、半分にあたる17項目は「達成状況がかなり悪い」と評価している。
達成状況がとりわけ悪かったのは経済部門だ。達成されたのは、ガソリン税(Cide)や社会統合基金(PIS)と社会保険融資負担金(Cofins)などの増税のみ。インフレは10%を超え、基礎的財政収支は大幅赤字、国内総生産(GDP)も3・70%のマイナスが予想される状況だ。
ブラジル経済の足かせとなっていた認可などの手続きを簡略化する計画の「ベン・マイス・シンプレス」が、推進元の中小企業省廃止で棚上げとなった。
また、達成満足度の低いものとして教育があげられる。達成されたのは保育園の増設と「すべての人のための大学計画(Prouni)」の予算確保くらいで、公立学校へのコンピューター導入や学校への資金援助などに関しては十分な資金を割けなかった。
さらに、専門医育成と公立病院の特別診療科増設を目指す「マイス・エスペシアリダーデス」は予算がつかず、先送りされた。口腔衛生のための新スタッフ1千組導入計画も294組に終わるなど、保健部門でも不十分さが目立った。
そのほか、灌漑や農業、保安の対策も当初の予算より大幅に低い予算しか確保できず、2625キロ分を予定していた高速道の入札は13・5キロ分に終わった。PT政権の売りだった「ミーニャ・ヴィーダ、ミーニャ・カーザ」も、4年間で300万世帯分の家屋建設を予定していたのに、15年は計画の発表を見送った。
ジウマ大統領が公約を果たせなかった原因は政府の財政上の問題が大きいが、議会での求心力のなさも否定できない。
エスタード紙によると、下院での議員の投票状況をデータ化した指標で、下院での連立与党の大統領への忠誠度が15年は67%に終わっていたことがわかった。
ルーラ大統領時代の指標は、04年の91%を筆頭に、ほとんどの年で80%を超えたが、ジウマ政権では13年に8割を割る79%を記録して以来、14年69%、15年67%とジリ貧傾向にある。また、下院が審議した案件中、政府提出案は37%で、ジウマ政権初年の11年の73%の約半分。議会での影響力低下が顕著だ。
なお、「反ジウマ派」として知られるエドゥアルド・クーニャ下院議長の下で投票が行われた議案数は、過去最高だった07年の216をはるかに上回る300だった。