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デング熱予防を呼びかけるポスター(Venilton Kuchler/ANPr、8/12/2015)
デング熱予防を呼びかけるポスター(Venilton Kuchler/ANPr、8/12/2015)

デング熱ワクチン初認可=実用化まではあと3カ月=9~45歳まで適用可能

 国家衛生監督庁(ANVISA)がフランスの大手製薬会社サノフィ社生産のデング熱対抗ワクチンを認可し、28日付官報に掲載したと同日付伯字紙サイト、29日付伯字紙が報じている。
 同社の対デング熱ワクチン〃デングヴァシナ〃の安全性と実効性が認められ、国内認可の薬品として登録された事で、同社はブラジル内でのワクチン販売の権利を得た。同ワクチンはブラジルで最初に承認された対デング熱ワクチンで、メキシコやフィリピンでも今月初旬に承認されている。
 同社によれば、このワクチンは4種類のデング熱ウイルスに効果があるが、適用対象は9~45歳のみで、6カ月おきに3回の接種が必要だ。現状では9歳以下、特に2~5歳と、45歳以上の年齢層に関しては、安全性を示す充分なデータが揃っていない。
 ワクチン市販化の時期は連邦政府当局との価格その他に関する折衝次第で、価格交渉や増産、輸入まで、あと3カ月が必要とみなされている。
 市販化に向けた最初のステップは価格決定だ。1回84レ、3回の接種が必要なため、統一保健システム(SUS)が対象年齢層の国民全員に無料提供するのは困難とみられている。関心を示している民間検査所もあるが、価格は未定だ。
 ANVISAが同ワクチンを認可したのは、今年のデング熱患者が14年の3倍で死者も2倍という実態を加味した故と見られるが、同ワクチンは流行阻止への即効性はない。また、デング熱と同じネッタイシマカが媒介するチクングニア熱やジカ熱には効かない。
 サノフィ社によれば、〃デングヴァシナ〃を投与された治験者は、デング熱にかかる確率が3分の1(効果率の平均は60・8%、型により47~83%と幅がある)になり、入院する事態になる確率は5分の1、重症化する確率は7%まで減少した。同報告書は今年3月にサノフィ社から提出され、ANVISAが分析を続けていた。
 世界保健機構(WHO)は人口10万人あたり300人以上の罹患者が出ると伝染病の「流行状態」と定めているが、ブラジルでデング熱の流行状態にある自治体は1374市で、半数近い49・3%はサンパウロ州などがある南東部に集中している。