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ピッチ内外で暴れん坊だった現役時代とはうってかわって、上院議員を務めるロマーリオ(Waldemir Barreto/Agencia Senado)
ピッチ内外で暴れん坊だった現役時代とはうってかわって、上院議員を務めるロマーリオ(Waldemir Barreto/Agencia Senado)

届かなかった金メダル=英雄ロマーリオの悔恨

 2016年も幕を開け、いよいよ〃オリンピック・イヤー〃が到来した。
 現役時代、リオの名門フラメンゴ、ヴァスコ・ダ・ガマ、オランダのPSV、スペインのバルセロナで活躍、94年にはアメリカ開催のW杯でブラジルを4度目の優勝に導いた伝説的ストライカーのロマーリオ(現在は上院議員)が、現役時代に後悔を残した数少ない大会で、金メダル獲得のならなかった88年ソウル五輪での思い出を地元紙に語った。(以下、一人称)
 88年のソウル五輪に参加したことは、私の人生の大切な思い出の一つだ。選手村での他の競技の一流選手との交流や、食堂でのくつろいだ時間などは今でも覚えている。それだけじゃない。22歳だった私はそれまで国外でプレーしたことがなかったが、スポーツの事だけじゃなく、文化や経済、政治とも密接な関係を持つ五輪に出た事で、自分が持っていた世界観や社会的な視野が各段に広がったんだ。
 東西冷戦下にあったソ連(当時)とアメリカがメダル争いをし、北朝鮮やキューバは出場を辞退したことを知り、私はただのサッカーしか知らない若僧から一回り成長した。
 セレソンは金メダルを目指して戦ったが、かなわなかった。私を含め、その6年後にアメリカでW杯優勝を果たすメンバーが何人もいたのに、決勝でソ連に負け、五輪で金メダルを獲れなかったことは悔やまれる。
 個人的には、22歳だった私はサッカー選手として上り調子だった。6試合で7点取って得点王になったけど、やはり金メダルのほうが良かったな。
 あれからもう18年、ブラジルはW杯で5回と最多の優勝回数を誇るが、五輪の金メダルはないことを未だに引きずっている。
 W杯の優勝国はブラジル、ドイツ、イタリア、アルゼンチンなど、ある種〃サッカー界のヒエラルキー〃が通用するが、五輪に関してはそうではない。昔はアマチュア規定、今では年齢規定が存在するため、優勝国にはハンガリー、メキシコ、カメルーン、ナイジェリア、ソ連、チェコスロバキア、ポーランドなどが名を連ね、完全なフル代表の戦いであるW杯での秩序が通用しない。
 五輪とはそういうものだ。毎回全く異なる様相を見せる。地元リオ開催の今回、遂にジンクスは破られるのだろうか。若き代表の幸運を祈る。(3日付フォーリャ紙より)