商工開発省が4日に発表したデータによると、景気後退に苦しむブラジルでは、15年の総輸入額が13年に記録した2397億ドルより682億ドル減少し、貿易収支の黒字額が197億ドルに拡大したと5日付伯字各紙が報じた。
総輸入額減少は、ブラジルを襲う経済危機のため、企業や個人の輸入が減少したことが原因だ。
15年のブラジルの経済成長率はほぼマイナス4%と見られる中、総輸入額は、前年の14年と比較しても577億ドル(25・3%)減の1715億ドルにとどまった。
これに関し、ジョゼ・アウグスト・デ・カストロブラジル貿易会(AEB)会長は「輸入額がこれほど落ちるとは誰も予想できなかった。ブラジル経済は停滞した」と語る。
経済成長率がプラス0・1%だった13年から14年にかけての総輸入額の減少は、前年比106億ドルだった。
不況により、一般家計の消費が減少し、企業も設備投資を抑えた。またドル高レアル安により、輸入が止まってしまった品目もある。
輸入の大幅な減少により、14年は41億ドルの赤字を記録した貿易収支は、15年に197億ドルの黒字を計上した。これは2980億ドルの黒字だった11年以来、4年ぶりの大きな黒字となる。
ジウマ政権下の経済危機によって、中間財、資本財、消費財、各種燃料など、全ての分野で輸入額は落ち込んだ。
輸出に関しては、中国経済の伸び悩みとそれに伴う世界規模のコモディティ価格の下落により、ブラジルの主要輸出品目である鉄鉱石、大豆、食肉の輸出も大幅に停滞し、45%、16%、18%の輸出減となった。
また、ドル高レアル安もブラジルの工業製品の輸出を大きく伸ばすほどの推進力とはなっておらず、総輸出額は、14年の2251億ドルから15年の1911億ドルへと、15・1%縮小した。ブラジルの年間総輸出額は、史上最大の2560億ドルを記録した11年以降、4年間で649億ドルも減少している。