日産自動車が4日、リオ州レゼンデ工場で新型スポーツ用多目的車(SUV)「キックス」の生産を開始すると発表したと5日付エスタード紙などが報じた。
街乗りとオフロード走行が可能な「クロスオーバー」の一種で、14年のサンパウロモーターショーで公開した「キックス・コンセプト」が好評であった事で販売を決めたもので、生産体制整備を含み、16~18年の3年間で7億5千万レアル(約230億円)を投じる。
今回の投資は11~15年の26億レアルに比べると小規模だが、前回の投資は14年完成のレゼンデ工場建設も含んでいたのに対し、今回はキックスの生産に特化した投資だ。新規投資により同工場の従業員は600人増え、2100人体制になる見込みだ。
ブラジルの15年1~11月の自動車生産は前年同期比22・3%、販売は25・2%減で、集団休暇やレイオフという言葉が頻繁に聞こえている。だが、コンサルタント会社のテンデンシアスによると、SUVを含むより高品質の車種は高所得者層が購入するため、不況の影響を受けにくい。全国自動車販売業者連盟によると、1~11月の大衆車の販売は25%減ったが、SUVの販売は4%増えたという。
テンデンシアスは16年の自動車販売は昨年比17%減だが、17年は1・3%成長と予想。日産のカルロス・ゴーン最高経営責任者は、「全国自動車工業会は16年の販売台数は昨年比5%以上減と見ているが、その位で済めば良い方だ」との言う一方、「キックス生産は市場を充分に分析して決めたもので、ブラジルや中南米を皮切りに世界展開を目指す」と自信のほどをうかがわせた。
ブラジルで好評なSUVはフォードのエコ・スポーツやホンダのHR―V、フィアット・クライスラーのジープ・レネガデなど。キックスやフィアットのトロ、ルノーのカプトゥルは今年、販売開始となる。中国のチェリー社も昨年7月、4億レアルを投じてチッゴ5を生産と発表している。